第20話 穢れになった男




あれ・・・自分は・・・どうしてここに居るんだっけ?





確か、真夜中に街を彷徨っていて

路地裏で、黒い化け物に出くわして・・・


身体がぶるりと震える。


そうだ、あの時、腕をもがれて・・・それで、それで・・・『喰われた』・・・はずだった



ではなぜ生きている?



ああ、そうかあれは単に悪い夢だった、そうに違いない。

そう思いなおして歩き出す。


身体に違和感を感じる、まるでそれが自分のモノではないような・・・





薄暗い路地裏・・・





ひたすら歩くが、体が言う事を聞かない。

まるで別世界に迷い込んでしまったかのような感覚だけがずっと尾を引いていた。




若い男がこっちに向かってくる。

あのカッコは・・・ウー〇ーイーツの配達員?




金属音がしたと思った次の瞬間




首筋に冷たい感触を感じる。

見ると若い男が刀を自分の首筋に突きつけている。



「ひぃいい・・・ひい・・・」



腰を抜かし、その場に倒れこむ。

なんだ、通り魔?通り魔なのか?




若い男は、動かず自分の方をじっと観察する。




「なんだ・・・『擬態』か・・・」




そう呟いて、刀を仕舞い。

何食わぬ顔で去っていく。






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