第14話 『御代』の逆鱗に触れる その4




「あんた、気をしっかり保ちなさいよ、『御代』の結界術は、発狂させて、意識を削るタイプよ」





壬屋子はこっそり四冥に耳打ちする。

息がかかって若干こそばゆい。


なるほど、さっきから米が・・・




”あ゛ッ(昇天”

”あ、あ、あ”


”(´・ω:;.:…”



”……うッ”






阿鼻叫喚になっている。

米がピンポイントで大ダメージを受けているが

俺自身は今の所なんともない。





改めて御代と呼ばれる女性を見る。

(敵意はないかな?)


四冥は靴を脱いで、座る。


せっかくだから一服いただこうかな






$$$







四冥は御代と向かい合って座る。

隣の壬屋子はまだ顔が青ざめて緊張しまくっている。



茶釜から立ち上る湯気

お湯を少し注ぎ、茶をたて、器を差し出す。



「自己紹介がまだやったね、私の名前は箕和鏡花・・・夜守の支部長代理をやっとります、皆からは『御代』呼ばれとるけど私自身ちょっと仰々しいと思うとるわ」




「六畳のお弟子さん、アンタの名前は?」




「・・・六畳四冥・・です」





「六畳・・・・・・私・・・『六畳』って『言葉自体』を口からあんまり出したくないんよ・・・せやから、四冥君って呼ばせてもらってええかな?」




「構いません」

「おおきに」





「四冥君、いつ上京してきたん?」

「ええ1ヵ月前ぐらいに『居土』から」




『居土』・・・




御代は目を輝かせる。

「あそこの温泉地は風情があってホンマええとこやわ、『あのジジイさえおらんかったら』月一でも通いたいぐらいになぁ」


(あのジジイとは、師匠のことだろう・・・噂には聞いてたけど、めっちゃ毛嫌いされてんな・・・)


御代はそのまま喋り続ける。



「数日前もウチらが手焼いてた穢れを祓ってくれたんやて?おおきにな」




「そ、そうなんです、御代、こいつの剣術すごくて・・・昔色々あったのは聞いてますが、このまま夜守に引き入れるのはどうですか!」


壬屋子は、すかさず会話に割って入る。

声は震えているがチャンスだと思ったんだろう

つーか勝手に話を進めんなよ


「壬屋子ちゃん、四冥君にゾッコンやな、修二君が泣くよ」


「そんなんじゃないですってば!」





あー、懐かしいなー





緋鶴ちゃんが、夜守に加入した時も、こんな感じやった。





ジジイの事は昔の事、

緋鶴ちゃんには関係のない事

緋鶴ちゃんは優秀やった、強かった、皆から憧れと尊敬を集めとった・・・







それが・・・このザマか・・・








一気に空気が変わる。

大きな手で押さえつけられたような重圧が体に走る。

息すら苦しい。


隣の壬屋子は怯え憔悴しきって

腰を抜かしかけている。



六畳緋鶴は、六畳四冥の姉弟子である。


緋鶴は夜守の幹部を何名も殺害して、

今現在も行方をくらませている、夜守にとっての大罪人であった。



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