第3話 夜守
夜守は『穢れ』討伐の正規部隊である。
政治的にも顔が効く祓い屋の名家に連なる組織であり、
祓い屋として所属していれば、色々なバックアップを受ける事が可能である。
現在の日本において『夜守』に所属しない祓い屋はほとんど存在しないとされる。
六畳四冥は『夜守』に所属しておらず、野良の祓い屋という事になる、理由は後述するのでここでは省く。
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現在、四冥は
東京郊外にある小さな土地の庵に身を寄せている。
朝、気だるいながらも起床し、
薪でお湯を沸かして朝食をこしらえる。
囲炉裏に火をくべ、魚の干物と飯盒で米を炊く。
御ひつに食器を並べて箸を持って手を合わせる。
「いただきます」
・・・
「ごちそうさま」
正直、もう少し食べたい。
だが、切り詰めないと、お米の仕送りはまだ先だ。
もし『夜守』に所属していれば、穢れ討伐の給金がもらえたはずだった。
それも結構な額を包んでもらえると聞いている。
なぜ、所属しないのか?
『しない』のではなく、『できない』のである。
なぜ『できない』のか?
それは、師匠が未だに、岐阜のド田舎の温泉地に左遷されている事にもつながっている。
(あそこは食うには困らなかったな)
穢れを祓えば地元の農家の人が気を利かせてたくさんの農作物を納めてくれた。
「東京に出たら、とにかくたくさん『穢れ』を祓え、できれば大物がいい・・・そうやって目立てば・・・『派手好きのあいつ』は必ず尻尾を出す」
師匠を思い出す。
ふーっと息を吐く。
ならば、やる事は昨日と変わらない。
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