【またアタシは…】

1月25日・曇り


アタシはこの日、職場放棄をした。


これには、きちんとしたワケがある。


アタシは、いつものようにJR宮島口駅からJR山陽本線の電車に乗って、岩国へ行った。


けれど、JR岩国駅のプラットホームで電車を降りた直後に足が凍りついた。


前の日に、顔の怖い債権者がバイト先に土足で上がり込んで、行方不明になったカレが残した借金をアタシにサイソクした。


思い出すだけでも怖い…


どないしょー…


あの時、アタシは債権者の男をボコボコにどつきまわした…


報復されるかもしれない…


バイトをさぼったアタシは、岩国港の桟橋へ行った。


メンソールをくゆらせながらぼんやりと海をながめて過ごした。


夕方4時50分頃のことであった。


アタシは、だるい体を抱えてJR岩国駅へ向かって歩いた。


その時であった。


突然、アタシの前に黒色のマツダMPV(ミニバン)が急停車した。


車の中から、派手なシャツを着た男たちが複数人出てきた。


「離して!!離して!!」


アタシは、必死になってさけんだ。


けれど、男たちはアタシをムリヤリ車に押しこめた。


この後、和木町(広島県との県境付近にある町)にある森林公園にムリヤリ連れて行かれた。


ところ変わって、森林公園内にある雑木林にて…


「離してよ!!何するのよ!?」


男たちに突き飛ばされたアタシは、その場にドサッと倒れた。


「まりなさん…わてのこと覚えてまっか?」


この時、前日バイト先に突然押し掛けてきた顔の怖い債権者がアタシの前にうすきみわるい表情で現れた。


アタシは『何よ!!あんたのことなんかは知らんねん!!』と言うて、怒鳴り返した。


けど、債権者の男はうすきみわるい表情でアタシに言うた。


「まりなさん、あんたのカレがぎょうさん残した借金をどないするつもりでっか!?」

「やかましいわね!!たくみのことなんかは知らへんわ!!カレが残した借金は1文も払わんけん!!」

「まりなさん、それは困りまんねん…」

「そんなん知らんわ!!」

「そななこといよったら、痛い目に遭いまっせ…カレが残した車のローンに加えて、会員制リゾートやゴルフ場の会員権の購入などの分も含めて、総額は200億や!!」

「200億…」


この時、カレが残したローンの総額が200億だと聞いて、ゼックした。


アタシは、そんな超大金を払うゆとりがないからダンコ拒否した。


そしたら、債権者の男はアタシにこう言うた。


「ほな、あんたはわしらの要求に応じへんと言うのか!?」

「そんなん当たり前でしょ!!200億円を払える経済力なんかアタシにはないねん!!アタシはあんたらをこらえへんけん!!」

「なんやと、もういっぺん言うてみろ!!」

「フン、なんやねんクソッタレ野郎!!アタシにてぇつけたら、知人の組長にチクるけん…覚悟しなさいよ!!」


債権者の男は、ワナワナと震えた声でアタシに言うた。


「オンドレ、そないに痛い目に遭いたいのか!?」

「ふざけるな!!」


(ガーン!!)


アタシは、債権者の男のまたくらを右足でけとばして倒したあと、ボコボコにどつきまわした。


その後、取り巻きの男たちがアタシに殴りかかってきた。


アタシは、激しい力で殴りつけてひとり残らず倒した。


フン…


弱虫…


アタシは、債権者の男と周囲の男たちをボコボコにどつきまわして殺したあと、その場から立ち去った。


ところが…


500メートル先の雑木林で、数人の男たちに取り囲まれた。


そしてあと…


「何するのよ!?離してよ!!」

「静かにしろ!!親分からの頼みや!!」

「やめて!!」


(バシッ!!バシッ!!バシッ!!)


「いたい!!いたい!!」


平手打ちで顔をシツヨウに叩かれて、その場に倒れた。


アタシは、男たちにガムテープで目と口をふさがれた。


(ビリビリビリビリビリビリ!!)


このあとのことは、よくおぼえてへんけど、布が破れる音と男たちのうすきみわるいわらいごえが聞こえた。


それから四時間後…


恥ずかしい姿にさらされたアタシは、JR西岩国駅の付近にある変電所の敷地内に放置された。


アタシは、横になった状態で涙をポロポロこぼして泣いていた。

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