【大毛島】

10月27日・晴れ


休日、アタシはたまっている洗濯物をコインランドリーで洗濯したあと、寮に帰った。


ベランダに洗濯物を干したあと、再び外へ出かけた。


アタシは、JR鳴門駅から鳴門市営バスに乗って大毛島へ行った。


大塚美術館の入り口の前のバス停でバスを降りた。


その後、歩いてエスカヒル鳴門へ向かった。


エスカヒル鳴門に着いたアタシは、世界最大級のエスカレーターを昇って、屋上の展望台に向かった。


展望台にて…


秋晴れの空、心地よい秋風が吹いている…


アタシは、伍代夏子さんの歌で『鳴門海峡』を小声で歌いながら、淡路島をながめていた…


淡路島と言えば、松山の第三(特別支援学校)時代の時に合宿で淡路青年の家に行った。


けれど、いい思い出なんかなかった…


丘を降りたアタシは、海岸沿いの県道をゆっくりと歩いて、浜辺にいた。


アタシは、砂の上にこしかけて海をみつめていた。


ローソンで買ったメンソール(たばこ)をくゆらせながらアサヒスーパードライの500ミリリットル缶の缶ビールをのんでいた。


アタシは、鳴門に来てから酒とたばこを好むようになった。


たばこをすい終えた時であった。


アタシの前に、ビニールボールが転がってきた。


「取って…」


ボールの持ち主である5歳の男の子がボールを取ってとアタシに言うた。


アタシは男の子に『行くよ…はーい。』と言うて、ボールを返した。


男の子は『ありがとう。』と言うて、ボールを受け取った。


そして、再びボール遊びを始めた。


そんな時、アタシはこう思った。


アタシにも…


小さい時はあったけど…


何一つ…


いい思い出はなかった…


アタシは、こう思いながら2本目のたばこを口にした。

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