【夕暮れの高松にて…】

11月4日・晴れ


カレとの同棲生活が破綻したアタシは、再びキャリーバッグひとつを持って旅に出た。


松永駅からJR山陽本線の電車に乗ったアタシは、岡山駅に着くまでの間、ひとりで泣きじゃくった。


なにが原因でカレと別れたのか?


愛し合う気持ちばかりが強すぎたけん、心のほころびに気がつくのがおそかった…


悲しいよぉ…


アタシは、キャリーバッグひとつを持って岡山駅で電車を降りた。


その後、瀬戸大橋線の快速マリンライナーに乗り換えて、四国へ向かった。


高松駅に電車が着いたのは、夕暮れ時だった。


駅のプラットホームにある立ち食いうどん屋さんで、一杯300円のかけうどんを食べた。


その後、アタシは夕暮れ時の都会(まち)へ出た。


それから15分後、アタシは通勤通学客でにぎわうことでん瓦町駅の駅前広場に着いた。


アタシは、広場のベンチに座って、くすんくすんと泣きじゃくった。


そんな時、松山の女子高時代の友人と再会した。


友人は、高松の大学で華の女子大生ライフを送っていた。


(本来なら大学3回生だが、2年間ワーキングホリデービザを使って海外に出ていたので休学中…なので1回生である)


アタシは、ことでん屋島駅の近くにある友人が暮らしているアパートへ行った。


ことでん屋島駅の近くにある友人が暮らしているアパートにて…


アタシは、福山で同棲していたカレと別れたことを友人に打ち明けた。


けど、うまく伝えることができずに涙をポロポロとこぼして泣いた。


アタシは友人に『今さらながら大学に行きたいと言うても行けない…かと言って専門学校にも行けない…どないしたらええねん?』と泣きながら言うた。


今からでも、通信制の大学や専門学校に行きたいと思えば行ける…


けど、今のアタシにそんな気力なんかない…


友人は『行きたい大学がなかったら無理に行かなくてもええねん…今のまりなの気持ちでは大学も専門学校も無理よ…』と言うた。


大学が無理なら、働くしかない…


せやけど、バブル(経済)が破綻したこのご時世に、元気な体があればどこでも雇ってくれる職場なんぞあらへん…


どないしたらええねん…


(まりなは、友人からの紹介で志度にあるタダノ(鋼板メーカー)の製造工場への再就職が決まった。)

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