【あなた!!働いてよ!!】

6月12日・雨


この日、父は水産加工会社を勝手にやめた。


父が会社を勝手にやめたことを聞いた母は、父を怒鳴りつけた。


「あんた!!働いてよ!!お給料を家に入れてよ!!」


母は、父に水産加工会社へ復職することを強く要求した。


今の父は復職できる気力はなかった。


すっかり無気力になった父は、酒浸りになった。


近くのスーパーでワンカップの日本酒をこうたあと、雨降りの中を歩いて小さな公園に行った。


父は、公園の公衆便所の裏で座り込んで、ひとりぼっちで酒をのんでいた。


美空ひばりさんの歌で『悲しい酒』を歌いながら泣いていた。


アタシは、酒浸りになった父を冷めた目つきでみつめていた。


あの日以降、アタシは父と口をきかなくなった。

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