まりなの日記・1【家に帰ってもひとりぼっち】

(昭和53年頃)


5月12日・晴れ


「ただいま…」


アタシは、カギを開けて家に入った。


けれど、家の中にいるのはアタシひとりだけ…


今日もまた、父は泊まりがけの遠距離出張で家に帰ってこない…


母は、一流総合商社で一番に出世することを夢見てエリート街道を走っていた。


この日の夕方のことであった。


帰宅をした母が『ごはんを作るからね。』と言うて台所で晩ごはんを作っていた。


晩ごはんは決まっていつも…


アルミニウムの容器のキンレイの鍋焼きうどんであった。


またキンレイの鍋焼きうどん~


アタシは口に出さなかったけど、母は『これからセッタイがあるから…』とアタシに言うて、また外出をした。


家族だんらんでごはんを食べる機会が全くない…


アタシの心のさみしさは、さらに深くなって行く…

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