第26話、萌の特殊能力
「よしよし、いい子だね。
おいしいミルクだよ。
飲まなきゃダメ……」
「おい!萌!大丈夫か!」
萌は意識を無くしているようだ。
「智代梨!」
「大丈夫よ、時々こうなるの」
「いや、こうなるって……おかしいだろ」
「でも、少しすると元に戻るから」
「戻るって……」
「うん、ミルク飲むって」
「飲むって?」
シャドウパンサーの子供はミルクを飲み始めた。
「お前、魔物と話せるのか?」
「うーんとね……話すっていうか、一緒になる感じ?」
「それで?」
「ミルクおいしいよって伝えたら、分かったって……」
「それって、魔物だけなのか?」
「ハチとか、動物とか……」
「これって、もしかするとテイマーの能力か?」
「テイマー?」
「魔物使いのことさ」
「萌にそんな能力があるの?」
「試してみよう。ちょっと用意してくる」
俺は浅い木箱に砂を入れて戻る。
「萌、建物の中にいるときは、ここがトイレだって教えられるか」
「簡単だよ」
そういって萌は意識を失ったようにグッタリした。
「もう大丈夫。三匹とも分かったって」
「三匹同時に指示が出せるのか」
「そんな感じかな」
「やっぱり、萌の特殊能力はテイマーじゃないかな。
ミツバチだって誘導できたんだから」
「でも、意識を失うのは?」
「同調してるんじゃまいかな。
萌、動物なんかと話すときって、どんな感じなんだ?」
「えっとですね。
こう、フワッとなって、重なるような感じになるとお話しできます」
「うーん、憑依みたいな感じかな」
「私、そんな幽霊みたいなじゃありませんよ」
「憑依って表現が嫌なら、纏う感じか?」
「そうそう、相手に乗っかる感じ」
「人間にはできないのか?」
「やったことないけど」
「俺にやってみてくれ」
「うーん……、ダメみたいですね」
「じゃあ、変身した状態で……どうだ?」
ああ、俺の中に萌が入ってきたのがわかる。
(どうですか)
(ああ、俺の中に萌がいる)
(どんな感じなんですか)
(二人分の力が合わさった感じか……)
(私は、仁君におんぶされてるみたいな感じです)
(ああ、背中におっぱいの感じが……)
(ひゃあ)
「んもう、仁君のエッチ」
「冗談だよ。
だけど、イメージは分かった。
テイマーとは違うかも知れないな。
融合っていった方が近いかもしれない」
「それですよ。
一つになってる感じです」
「まあ、どっちにしても、魔物と意思疎通ができるってのは使えるかもな」
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