(三)-2

 途中、ガタンガタンと揺らされ、恐らく空港の保安検査場を通ったのか、もしくは預け入れ荷物として預けられたりしたのだろう、そこでX線を浴びることになった。まあ、一瞬のことであったので、あまり気にはならなかったが。


 そして再び世界を見ることができたのは、翌日だった。そこは伝統ある町並みのベルギーではなく、アメリカのフィラデルフィアの彼の家であった。

 朝、サムは寝室で私をスーツケースから取り出すとダイニングへやってきて、朝食をとっている彼の妻と娘のメアリーの目の前に「メアリーにお土産だよ」と言って私をテーブルの上に置いた。


(続く)

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