283_生ごみ

誰かが捨てた穴の開いていないビニール袋が


猛スピードで走る車の風切り音と共に宙を舞う


少し遅れて車の後をついていくが、またすぐ地面に落ちる


少しだけ前に進んだようだ



今度は反対側から猛スピードの車がやってくる


また宙を舞い、少し遅れて車の後をついていく


が、またすぐに地面に落ちる


先程いた場所に戻ったようだ



そんな光景を眺める僕の足は止まっている


どちらの方向にも猛スピードで走ることもなく


かといって誰かについていく素振りさえない



誰かを轢きかねない危ない車よりも

穴の開いていないビニール袋よりも

ずっと僕の価値はゴミなのかもしれない

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