第3話事件発生
暗闇の密室でそれは行われていた。
蝋燭の火が灯り少女がいるのが確認できる。その周りには3つの人影揺れているそのうちの1つ、蝋燭を持っている影が少女へと近づいていく。
「はっ、デ……ユー。はっ、ピ……ディ、瀬崎ーハッピーバースデートゥーユー」
蝋燭の火が消える。パン、パン、2つの乾いた音が鳴り響いた
「やめて…さい…」
「やめてください!こんな歳になって誕生日会だなんて、それも職場でなんて…」
言葉はキツイものを使っていたが、表情を見る限り満更ではないようだ。
「こんな歳ってまだ15でしょ。まだまだ喜んでいい歳よ。」
「早紀さん…早紀さんもまだまだ喜んでいい歳です!」
と間違った返しに、上司と見られる女はそれでもにっこりと微笑んだ。
「はぁ、瀬崎そういうことじゃないと思うぞ」
と眼鏡をかけた男がたしなめる。
「まぁ、でもよかったわ、佳奈ちゃんも無事正規テスト合格してくれて。あの件以来人手不足で実質活動停止状態だったから…」
どうやらあの件とは禁句のようなものだったらしい。面々の顔が曇る。
「あ、あんなの落ちる方がおかしいんですよ!」
瀬崎が無理やり明るい声で言った。
「おいぃ瀬崎ぃそれは一度落ちてる俺に対する当て付けかぁ?」
バースデーケーキを食べていたスキンヘッドが睨む。和ませようとしたのは逆効果だったようだ。スリーパーホールドをきめられる。
「うぅ、そんなんじゃないです。ごめんなさいぃ。」
「星野さんも帰ってくるし、新人も来るし、これで渥美班始動ね。」
早紀の発言に眼鏡が反応する(ちなみに眼鏡は銀縁)
「新人?」
「ええ、加納くんには言ってなかったけ?パーティーには間に合うように言ったんだけど、何してるのかしらね〜」
「い、いやそんな大事なことなんで言ってないんですか!」
加納と呼ばれた銀縁が声を荒げる。
「あぁ、そうね。ごめんごめん。」
どうやらなんとも思っていないらしく、いい加減な返事で返す。
「にしても、初日から遅刻なんて舐めた奴ですね。どこの研修所っすか?」
瀬崎に技を極めながらスキンヘッドが聞く。
「えーと、今回の新人さんはねーな・ん・と」
「ウゥーーーン、ウゥーーーン」
早紀がもったいぶったところで警報が鳴った。
「事件発生、事件発生、第4区画で殺人事件と思われる事態が発生被害者は女性犯人の目撃情報はなし第4係は現場に急行してください。繰り返す…」
「みんな放送の通り、今すぐ現場に急行!」
「了解」
「プルルル、プルルルルル」
早紀の携帯だった。
「こんな時にもう。もしもし、今仕事中なんですけど、はい。かんなぎくんが?あーはい。すみません。えー、うちの職員です。今?今ですか?…いえいえ、今向かいますので少々お待ちしていただいてもよろしいでしょうか?はい、本当にすみません。」
電話を切って可能の方に向き直った。
「加納君ごめんちょっと用ができたから、先行ってて、ホントごめんね。」
「はぁ、わかりました。先に行ってます。必ずきてくださいよ。」
加納が早紀をまっすぐ見据えて言う。
「ごめんね、必ず行く」
先に出ていた2人を追って加納が駆け出していった。
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