とある自作小説に関する電子記録
四方山次郎
第1話
2008/8/10 22:35:20
タイトル「小説の紹介」
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はじめまして。少し前にパソコンの使い方を教わって、いろいろ使いこなせるようになってきたので、今日はブログというものを書いてみたいと思います。
その理由はとあるウェブ小説を紹介(この世界ではレビューともいうんですかね?)したかったからです。
小説は「黒い龍と星刻の騎士」。作者は
ブルーメルという架空の王国を舞台にしたファンタジー小説です。
簡単にあらすじを紹介します。
ブルーメル王国では毎年大きな災害が起こっていました。災害には大嵐、大干ばつ、大地震、そして龍害がありました。龍害とは、突如として黒い龍が王国に降り立ち暴れまわった後姿をくらますというものでした。その龍をこれまで退治できたことはなく、最も大きな災害として根付いていました。そんな王国を神様が不憫に思ったのか。あるとき星の精霊たちによって龍に対抗できる力を授けられます。それから王国民のなかに体の一部に星のマークが刻まれた子供が生まれるようになり、その子供たちはみな風や火を操るなど特殊な力を宿していました。それとともに特殊な力を備えた「星刻の武器」とそれらを扱い龍を祓う「星刻騎士団」が生まれました。
それからは龍を倒すまではいかないまでも被害を抑え龍を退けることを可能としてました。
そんな時代が何十年も続いたあと、星刻騎士団に憧れる少年エディのお話です。彼には秘密があります。実は新月の夜にその姿を龍に変える力を宿していたのだった。
龍害のひとつである龍の力をもつ主人公の苦悩や星刻騎士団のいざこざなどを乗り越え、序盤の騎士になるまでの修行シーンや味方との仲違いは王道です。そのあとに騎士一行の冒険の始まりとなります。最も優れた星刻の騎士とそのほか少数精鋭が各地の龍と名残がある場所をめぐることとなります。星刻のお姫様と星刻騎士、そして龍の力を宿すエディ。図書館の児童書によくある西洋風ファンタジーといった感じだった。
この小説、実はぼくの同級生が書いているのです。
この前、その友達(ここではKくんとしておきます)が休み時間にノートに一生懸命に何かを書き込んでいたので、何をしているのかって聞いたんです。
そうするとKくんはこちらには見向きもせず「書き留めてるんだ、いいネタがひらめいたから」というんです。「何のネタ?」と聞くと彼は「小説の」といったあと、はっとしたように勢いよくこちらを振り向きました。どうやらこちらの質問には無意識に答えてしまっていたっぽいです。
そこからぼくとKくんの秘密が始まったのです。Kくんは小説家希望でネット小説を書いていると打ち明けてくれました。その小説のURLも。
Kくんはクラスメートの中でも物静かな部類でした。クラスメートともあまり関わらず少し変わった男の子でした。休み時間もいつも自分の机で本を読んでいたり窓際で空をぼーっと眺めたりしています。そんな彼が珍しくノートに急いで書き込んでいたところに声をかけたのが始まりでした。
ぼくが指摘したいのはこの作品に出てくるキャラクターが、実は現実の人物を模しているのではないかと考えたからだ。
例えば、「グリーモルの沈黙の森」に登場するガリウール盗賊団団長ガリウール・ロウ。彼は粗暴な性格で盗賊らしく人の気持ちを踏みにじり、人のものをわが物のように蹂躙する。
彼のもとになったのはクラスメートのZくんだと思われる。
Zくんはいわゆるガキ大将というやつで小学校のとき有名であり、誰もが良い印象を持っていなかった。もちろん、Kくんもだ。
実際、Kくんはプロレスの相手にされたり、放課後のホームルームでやる漫才でも馬鹿にされる役をやっていた。言ってしまうといじめられていたのだと思います。
そんないじめっ子なZくんを模したガウリールは最初は敵として現れるのですが、部下に裏切られて一転窮地に立たされます。そんな中、敵対していたエディたちが助けるのです。敵であるにもかかわらずです。その後、改心したガウリールはエディたちと行動を共にします。
これは小学校の頃ZくんにいじめられていたKくんが、彼へ一矢報いるシーンであるのと同時に、本当はZくんとも仲良く笑い合えるような関係でいたかったという思いが込められているのではないかと思います。
そして、もう一人、星刻のお姫様です。
彼女は王族の末裔であり、星刻の騎士団の一人でもある人物です。
星刻の力は王族が身に着けることで最も力を発揮するという設定があるのです。
そのお姫様の髪形やしゃべり方まで何から何までも同じくクラスメートのCさんにそっくりだったのです。
彼女はとてもきれいな長い黒髪をしていて、すれ違う時いつもいい匂いがしていた。けれど彼女と話しているとき「それで?」とか「どこが面白いの?」とか短い言葉で有無を言わせないような雰囲気で聞き返されることがあったんです。そんなとき、冬に冷たい風が吹くように体が少し固まってしまうことがありました。これはぼくだけじゃなくてほかの男子も思っていたらしいです。たぶんKくんもそう感じていたと思います。青い瞳ではなかったけれどその雰囲気を色で表現すると青がしっくりときました。
彼女をヒロインとして起用するにはそれなりに意味があるのではないかと思います。
例えば、初恋の人、とか。
誰もが近寄りがたい雰囲気をまとっていたCさんが誰かと恋仲になったという話はきいたことがありませんでした。
そんな彼女に好意を寄せていたことも、物静かな彼ならおかしくはありません。
でも、KくんがCさんと恋人同士になれなかったということは知っています。
だって、Cさんは同じクラスになったその年に転校してしまったのだから。
何より、彼の口からフラれたという話を聞いています。
彼女は最後の登校日、みんなの前で別れの言葉を言ったけど、それもあまりにそっけない。
「いままでありがとう。わたしも元気でいるのでみんなも元気でね」とだけだった。
そんな最後までクールな彼女だった。
その日の放課後、ぼくは日誌を書くのに放課後遅くまでかかってしまった。
だから、みんな帰ってしまった学校の玄関でうずくまっているKくんを見たときは本当に驚いた。
そのとき、Kくんと話をしたんだ。
Cさんに告白しに行ったという話を。
結果は、撃沈。
「ごめんね」と断られてしまったらしい。
それでも最後には「ありがとう」って言ってくれたと彼は泣きそうな顔でぼくに打ち明けた。というより実際にそのあとすぐに泣き始めた。
Cさんの転校は彼にとってとても悲しい出来事であったけれど、同時にとても大切な出来事にもなったんだと思う。
物語の終盤でお姫様は自分を犠牲にしてこの世界の災害を打ち消す魔法を発動させるんだ。
世界は平和になるけど、エディは心にぽっかり穴が開いた感覚のまま、最期を迎えてしまうんだ。エディは最後彼女の犠牲とともに訪れた青空の平和を眺めて終わるんだ。
振り返ってみれば中学に上がってからたまに見るKくんは常に空を見上げてぼーっとしている気がする。もしかしたら転校していったCさんのことを思い返しているのかもしれない。もしくは自分の創造した星刻の姫君を憂いているのかも。
この小説を読むことでK君の人生に触れているようにも思えそれがより一層こころをぎゅっとつかむような感覚を覚える。
これを読んで興味を持った人はぜひこの作品を読んでもらいたい。
Kくんとエディ、そして星刻の姫君たちが何を思い何を尊び生きたのか、その人生を感じ取ってもらいたい。
以上が、この小説の感想です。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
よかったらまた読みに来てください。
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