第140話 裏切り者の騎士と‥病院にいる看護婦のマーニヤ それからシュルーク姫たち

砦では‥

「裏切り者が多く紛れている先日、捕らえた者達が自白した」

ヴァレッタ総長が言う


「グランドマスター」「総長様」


そうしてヴァレッタ総長 グランドマスターは鋭い視線で

青空、戦の音がする窓を見ている



戦が激しさを増して 病院なども大騒ぎな様子 

多く者達が気さの傷で呻き、時に悲鳴を上げていた。


「ガーゼをお持ちしました これで治療した患部を‥ 

ああ、それから運び込まれた怪我をした兵士の方々はこちらの方へ」

医師たちに医療に優れた騎士達 看護婦のマーニヤ達は

休む間もない程に皆が動きまわっている。


「あ!」足を滑らせてこけそうになるマーニヤを誰かが抱き留めた

「大丈夫かいマーニヤ」マルテイン・ブランド騎士


「ま、マルテイン様 ありがとうございます」

頬が赤くなり マルテインを見つめるマーニヤ

「気を付けてね」「はい」そっとマーニヤの肩に置かれたマルテインの手


「また、君にキスをしたいよマーニヤ」小さな声で呟く

「マルテイン様」


「後でシュルーク姫の高齢な祖母君の処に行くのだろう?

すまないけど これを…商人の知り合いから頼まれてね」

そっと差し出された果実の籠


まもなく忍び込んでいたもの達も動き出す シュルーク姫達も逃がす

敵に脅されて 間者となり気がつけば多くの罪を犯していた

彼は既にマルタの騎士ではなかった 慙愧の念は彼の心に重く圧し掛かる


それに愛らしく可愛いマーニヤへの恋心  利用するだけのはずだったマーニヤ

もし、ついて来てほしいと頼めばマーニヤは‥?


「はい わかりましたわ 過日の籠はお届けしますね」

何も知らないマーニヤが微笑する

彼は裏切り者の間者 籠の中にはいつもの密書が忍ばされているのだったが


廻り者達がそんなマルテインの様子をそっと監視していた。


「マルテイン・ブランド騎士 看護師のマーニヤに手渡したものは?」

騎士の一人が声をかける




「空気がピリピリする感じね ふう」

「シュルーク姫様」「姫や‥」


「食事も減っていっているけれど 私達は若いから 

でも、おばあ様?」

「私の事は大丈夫だよ 可愛い姫」「おばあ様 それにマリア」


戦況の激しさは閉じ込めらているシュルーク姫達にも影響を与えていた


ノックの音と共に部屋に入ってくる騎士

「体調は大丈夫ですか?」「‥‥


「食事をお持ちしました 量が減り申し訳ないのですが」オランジェヌ騎士

「いえ、大丈夫です」

「交渉の使者が来たようですが 戦が激しくて‥今は難航しております」


二人の瞳が互いを見つめ そっとオランジェヌ騎士がシュルーク姫の手に触れた

ハッとするシュルーク姫 切なそうに束の間、オランジェヌ騎士は姫を見ている。

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