第100話 童女 キンドリー

 祝宴は、盛り上がる。


キャンベル公爵の派閥は新興派閥の為 まだまだ人員 実力 資金は他の7公爵の派閥に比べて低い。


資金 資金源については、王宮から出る公共事業しか現在持っていない為かなり苦しい台所事情だ、あらゆる利権はすでに他の7公爵家の既得権益となっており、貴族なら自由に参入可能な貿易事業についても、まだ 手探り状況だ これは王家、他の7公爵公爵家が他国より妻を娶りその縁で太い関係を築いて貿易をしているのに対してキャンベルは今だ婚約者すら決まっていない状況であるため、周辺のどの国も大きな取引関係に踏み出せない状況だ。


キャンベルの元には、周辺国の王族、高位貴族からの縁談は多数入っている、どこの婚姻を受け入れるかでキャンベル公爵家がどこの国と厚く関係を持ち、貿易や政治において協力関係を構築するかは、縁談の返事待ちとなっている、当のキャンベルはせめて女性以外から婚姻の申し込みは無いかと、密かに思っているが口に出すと問題発生が分かっているので沈黙を貫いている。(間違って、男の娘から縁談来ないかな~~)


キャンベル公爵の派閥は取り合えず人数を揃える為に、派閥に入れなかった家、派閥から追放された家などの問題貴族家を取り込んだ。 まあ、簡単に言えば貧乏で変態で異能の能力が微妙な貴族家の寄せ集めだ。


問題なく、戦力、資金を維持している貴族家なら、既存の7公爵家が派閥に取り込んでいるので、新興派閥に取り込めるのは、それ以外の貴族家となるのは、いたしかない事ではあるが…………


勿論、あまりにも お荷物になる貴族家は門前払いしている。


そして、他の特徴として上級貴族の家が非常に少なく、下級貴族家が多い


さらには、キャンベルの友人として派閥の集まりに多数が呼ばれている、この者達は、選ばれた者達だ、その優秀さがキャンベル公爵に認められた貴族家の嫡男では無い子弟や騎士爵や平民階級の者達だ 男爵になる前のオククも その一人として集まりに参加していた。


 

 今日の主役席に座るオククの元に沢山の貴族が祝辞を述べに来る。


オククに取っても顔見知りの皆さんから、お褒めの言葉を掛けられるので大層リラックスして笑顔で祝辞を受けていた。


勿論、上位の貴族の方からの祝辞なら立って向かい返礼をしなければいけないところだが…………


オククの肩に、後ろから顎を置き 反対側の肩に腕を回しガッチリホールドするキャンベルがいて、何処からも非難の目も苦情も上がらない、ただ 大変そうだねと暖かい視線は感じるが…………


そして、変わった貴族が祝辞にやって来た。


祝辞に来るのは、各貴族家の当主がご婦人同伴で祝辞を述べるが、この貴族は家族でやって来た。


優しそうで気の弱そうな当主 そして ちょと派手なご婦人 当主とよく似た優しそうな12歳くらいの長男 ご婦人を小さくしたような少女


そして、小さな童女


の5人家族が祝辞に来た。


今回のパーティは、オククの昇爵、所長就任の祝宴の為、当主とご婦人、個人での参加で家族で来ている者達はいない。


「オクク男爵、この度の昇爵、王国魔道具研究所 所長就任 このモウゲ伯と家族一同 お祝い申し上げます」


オククより上位貴族為 立ったまま軽くお辞儀して祝辞を述べるモウゲ伯爵


「ありがとうございます」


オククはキャンベルにホールドされてるので、座ったまま返礼を述べる。


そして、モウゲ伯爵により 押し出される


「さあ、ご挨拶を」


小さな童女が家族の前に押し出され


「モウゲ ハクシャクケ キ、キンドリーでござい  ます!!」


噛み噛みの上 詰まらせて、その童女は挨拶した。


その大きな零れそうな瞳には、涙が滲んでいた。


オククは後ろのキャンベルから、強く強く抱きしめられた。


そして、血の滲むような声がキャンベルから発せられた




「君の、婚約者だよ」






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