第91話 新居は格安家賃で…………

 定時出勤、定時退社のオククです。


同僚の皆さんは、サービス残業でノルマ達成を目指します。


ちなみに、ノルマは俺には無いそうです。


横でノルマを言い渡されていた、同じ新規採用の皆さんは悔し涙に頬を濡らしていました。


しかし、上司から俺に特別業務が


「オクク君、悪いんだけど明日は資材の搬入、運搬をお願いしたいんだよ、どうしても人手が足りなくて…………」


凄く申し訳なさそうな顔で上司が頼んでくるので


「はい、大丈夫です、やらせてもらいます!!」


やっと、俺に出来る仕事が…………明日は、頑張ろう!!


と、同僚の皆さんを尻目に定時帰宅しました。



 学園を卒業し、学園の宿舎を出た俺は家を借りて、そこから出社しています。


2階建ての5LDK 庭付き一戸建を月8万5000エリンで借りています。


立地は、王都最高級の宅地で、周りには豪壮、壮麗な公爵や、上級貴族の邸宅が立ち並ぶ区画です。


リビングから、外を眺めると キャンベル公爵の大豪邸が見え、時には2階のキャンベル公爵の私室からキャンベル公爵が笑顔で手を振ってくれます。


そう、キャンベル公爵の、キャンベル公爵による、キャンベル公爵の為の、オククの家です、ナニコレ?


この家は、キャンベル公爵に叙爵されたときに、拝領した公爵邸の一部を改装して建てられた家で、勿論 俺の卒業後の為に用意された家でした。


公爵邸の100分の1ほどの土地を別家用に壁を削り壁で囲い、表から見ると別宅に見えるように作られています。


長く高い公爵邸の壁の途中に低い壁の我が家ある、とんでも事故物件です。


家賃安いのと、安全性の高い好立地、通勤便利でなかったら、絶対断っていただろう。


王都の平民街でも、一戸建て5LDKなら30万以上と言われたから、ほんとに格安だ。


俺には、アスカをはじめ、俺の警護、身の回りの事をしてくれる沢山のゴーレム達が常時いるので狭い所に住むのは無理!!


あと、引っ越し初日から自宅地下を掘りだし、拡張中だ。


問題は、家に裏口が付いていてキャンベル公爵が無断侵入してくる事かな…………


 

 「じゃ、オクク君 お願いするね」


上司がすまなそうに命令してきた。


目の前には大量の物資、これを目的の部屋や個別の倉庫に運ぶのが俺の今日の仕事だ、燃える 初日以外は無かった、ヤル気が燃える!!


  30分後


「もう、無理!!」


考えたら、学園に居た時 運動してなかった。


もはや、若い頃のような体力は無くなっていた、オクク18歳 体力の限界を知る男。


「あ、そういえば。 魔道具の制作の秘密を守る為に、魔道具など業務に必要以外の道具は持ち込み禁止だったけど……」


あ、ゴーレムも持ち込み禁止って言われた。


しかし、持ち込まないなら…………いいんだよね。


「クリエイト ゴーレム!!」


3重魔法陣が現れ光輝くと、いつも地下で土掘りをしている作業タイプのゴーレム1体が現れた。


「じゃ、お願い!!」


以心伝心、する事がわかっているのか、ゴーレムが荷物を運び出す。


たまに、わざわざ箱を開け中身の確認をしている。


カシャ!! カシャ!! カシャ!!


そして、中身を見て目が今までに見た事無い動きをして、変な音をだしている。


「大丈夫か?」


聞いてみる、大丈夫と手サインを出してくる、そういえば3重魔法陣ゴーレム いつまでたっても喋れないな。


そして、問題無く今日の業務を終え 定時に退社するオククだった。


  その後、少しして王都から格安で魔道具が輸出され始めたらしい。


サドナー公爵家の利権を守る為にロウラ様が大激怒して、犯人を捜しを命じたが犯人は見つからず、今も王都の闇から、魔道具が格安で輸出されているらしい。





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