第6話

「はい、3、2、1」


 車が突っ込む。スーパー。


「はい突入完了。後は頼んだ」


「すぐに終わらせますよ」


 車から出る。

 自分は、目が良い。正確には脳の機能が人とは違う。電波や音の波長を、目で見ることができた。だから、サイバー攻撃などがあると実際に現地に向かって、直接目で見て原因を特定する。

 スーパーがサイバー攻撃に遭っていて、出入口が完全にロックされていた。

 怒号が聞こえる。


「ははあ。そういうことですね」


 店員さんが待機所から店内に入ってこれなくて、ドアを力ずくで押し開けようとしていた。


「ちょっと待ってください」


 電波の行き先を、なんとなく眺める。

 近くにあった、音楽を流すスピーカー。ここからコンセントを経由して、スーパーの照明と自動ドアの電気信号に介入してるのか。

 持ってきたラップトップをスピーカーに繋いで、サイバー攻撃の発信元をシャットダウン。どこにでもよくある、適当打ちのシステム攻撃だった。たまたまスーパーが攻撃先になっただけ。


「はい。直りました」


 ドアが開いて、店員さんが勢いよく転がってきた。


「サイバー攻撃です。損失の補償とかは管区まで。はい。ドアを車が破っちゃってて。もうすぐ警察来ますんで。後はそちらと話してください。俺はこれで」


 雑に説明して、その場を後に。

 しようとして。

 大根の影に。

 この前すれ違った、彼女が。いる。

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