heard (your eyes)

春嵐

α

 好きなひとがいた。

 ずっと好きで。でも、何も言えなくて。ただの仕事仲間から、進展がないまま。彼の隣にはいつも同じ女性がいて。きっと二人は付き合ってるんだろうなと、思う。

 わたしには、縁がなかった。それでも、彼に優しくされると、心が揺らぐ。

 彼。呑み会前の集まった人だかりのなかで。いつも一緒にいる女性と談笑している。

 帰ろうかな。呑み会もずっと同じなら、好きなひとが違う誰かと話しているのを見るだけだし。

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