子供の時


小さかった身長を目いっぱいに伸ばして

通学路 川向こうの山の大きさに目を見張った


自販機の一番上には手が届かない

雲にも 慰めたい誰かの頭の上にも




豊かな想像力を精一杯動かして

炎天下 夏と冬の境目はどこにあるんだろう

そんなことを考えた


身の回りだけが世界だった

学校と自宅と 仲のいい友達の家




乏しい経験を振りかざして

毎日を ただ見栄を張って生きていた


知らないことがたくさんあった

知りたいことがたくさんあった


未来のことなんか

考える暇もないくらいに

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