夏模倣


冬場 風呂上りに窓を開ける

できれば 風通しの悪い部屋がいい

ベッドに腰かけて 目を閉じよう


じっと外の音を聞く

換気扇のぶぅんという低音

サー という風のノイズ

名前のわからない虫の合唱

あとは そう 近所の話声とか


そうすれば 涼やかな夏が香る

脳裏に思い起こされるのはあの風景だ

鮮明な山際 世界を染める青空

夜半の高架橋 無人のお社


私はどこにいるんだろう


目を開ける すると冬がいる

肌寒くなって窓を閉める

つかの間の逃避行

冬にいあぐねた 私の夏模倣

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