思い出した話。2
子供の頃の自宅近くの土手で、一時期、ボヤがよく発生していた。
近くの畑ではたまに焼き畑をやっていたがそんな時期では無く、青々と伸びきった雑草が生い茂っていた記憶がある。
たしか煙草か何かのポイ捨てによる火事だった。
その土手は少し行くとバイパスにぶつかり、通り抜けられるように一端下ってトンネルになっていた。
そのトンネル内でも同じように煙が上がっていたことがあったから、その時期危ない人がその周辺に居て、むやみに煙草などを捨てていたのだろう。
人災ではあるが、その一連のボヤ騒ぎの中で、兄が変なモノを見たという。
人の腕、だ。
歳相応に好奇心旺盛だった幼い兄は、そのボヤが発生したすぐ後に現場を見に行ったらしい。
その火事現場に人の腕があるのを見たと言い張った。
あの地域ではマネキンの頭を案山子に使っていたので、多分、そのマネキンの腕がたまたまそこにあったのではないかと思っていた。
だが、今考えると、あの案山子に使われていたマネキンは美容師などが練習で使う頭だけのモノだったと思われる。
髪の毛が全バラ切りだったし。
ゆえに、腕は無いはずだ。
では兄はあのボヤ現場で何を見たのか。
そもそも土手にマネキンか何かの腕だけを捨てる、なんてことを誰がするのか。
ボヤ騒ぎがあったのは、本当にその時期だけだった。
本当は何か、ボヤ騒ぎだけではない何かがあったのだろうか。
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