砂漠の国の第2王子〜スローライフな日々をお求め〜

第103話 嫁候補？

「……なるほど、それでその子を引き取ったということですね」

アストレア公爵家に戻ると、何処からか聞いたのか心配してくれていたレイナとアイリスに出迎えられて、無事の報告をすると、とりあえず納得して安堵してくれた二人。

なんだか、本当に慕われてるようで嬉しくなるよね。

そして、バルバンとセリィのことを説明すると、バルバンはスルーしてセリィに視線を向ける二人。

その意味深な視線は何なのだろうか？

「……主、この人たちが主の婚約者？」

「うん、レイナとアイリスだよ。俺には勿体ないくらいに可愛い自慢の婚約者だったりする」

そうセリィに説明すると、どこか照れつつも嬉しそうに笑みを浮かべるレイナとアイリス。

うむうむ、やはり純正の癒し系美少女と、うさ耳癒し系美少女は目の保養になるね。

「あ、あの……エル様、その子は亜人ではないですよね？」

「ん？ああ、ハーフヴァンパイアらしいよ」

「……えっへん」

謎に自信満々なセリィだが、微笑ましく見えるのはセリィの魅力なのかもしれないな。

そして、そんなセリィのことを説明すると二人は驚きつつも、どこか納得したように頷く。

「エルダート様は、本当に色んな方を魅了しますね」

「エル様は素敵ですからね」

……べた褒めはやめて。

物凄く照れくさくなる……というか、褒められ慣れてないから、天狗になるどころか畏まっちゃうよ。

「ですが……」

「エル様」

レイナとアイリスは俺に近づくと、それぞれ俺の手を握ってどこか真剣に言った。

「あまり無茶はなさらないでください。エルダート様がお強いのも、お優しいのは分かってますが、それでも心配なのです」

「エル様が傷ついたり、無理するのは見たくありません。エル様が居なくなったら、私もレイナ様も……」

……そうだね、昔とは違って、今は心配されるような存在になれている。

そして、二人は真剣に俺の事を思ってくれている。

それは、とても幸せなことだけど、同時に二人にあまり無用な心配はかけるべきでないよね。

「……うん、分かったよ。心配かけてごめん。これからはなるべく控えるよ」

そう言うと、ホッとしたように微笑む美少女二人。

無論、トールが居るので余程のことがないと危険なんてことはないけど、今後はバルバンやセリィもそこに加わってより俺の安全は確約される。

とはいえ、だからと言って別に危険なことに積極的に首を突っ込む気は無い。

不可抗力や、やむを得ない事情何かでその手の事案に踏み込むことは有り得なくもないけど、それだって、別に好き好んでやるとは思えない。

安全でゆったりした生活を、可愛い婚約者達と過ごす……それこそが、俺の命題だし、あとは次は海のある街に行きたいものだ。

爵位を貰ってから行くべきか、その前に行くべきか……いや、その前は難しいか。

屋敷の手配と、スラム街の人達を雇う計画、そしてまだ行ってないダルテシア王国の王都の観光もあるし、直ぐには動けない。

祖父母にも会いに行きたいけど……少し遠いので、すぐに行くのは難しいだろう。

魔法でパパーッと行ってきた方がいいかな？

曾孫の顔も見たいだろうし、早めに連れてきてあげたいが、祖父母の場合はそれだけでは終わらないだろう。

国内もそうだし、国外でも顔が広いから、一度連れ出すと恐らくしばらくは付き合うことになる。

転移の魔法ですぐに移動出来ても、行く先々でおそらく祖父母とついでに俺はもてなされて、そのまま一泊も考えられる。

……うむ、悪いが爵位を貰ってから会いに行くとしよう。

それと、もしシンフォニア王国でに領土を貰うとしたらその候補地への下見に行く必要もある。

目をつけているのは、未開の地だし、凶暴な魔物や野生動物なんかも考えられるし、人を移住させるには魔法で狡をしても時間が必要だろう。

まあ、ダメなら別荘地の1つにすればいいし、そんなに手間ではないけど。

……なんか、改めて予定を確認すると忙しいな。

でも、それらを終えたら多少は楽になるか。

オアシスの水も恋しいけど、後で一度戻って眺めてこうかな。

「……あと、例え婚約者が何人になっても、私もアイリスさんも負けません。勿論仲良くしますけど」

「はい！エル様のことを一番慕ってるのは私とレイナ様です」

……アグレッシブだねぇ。

そんなに情熱的だと、チョロい俺は更に本気になってしまうよ？

にしても、このタイミングでそんなことを言うのは、やはりセリィのことを新しい婚約者だと思ったからだろうか？

正確にはまだ婚約者ではないし、出会ったばかりなのでそうなる予定も未定だが……本人的にはその気のようにしか思えない発言もあるが、あれはあくまで血を欲しいからのはず。

まあ、もし婚約者になったら、それはそれで美少女が増えて嬉しいけど……セリィとは何だか仲良くなれそうな感じだし、アイリスやレイナとは違う魅力もある。

……あくまでも、本人の意志を尊重するけどね。

無理強いとかしたくないし、それにどうせなら相思相愛の方が気兼ねなく接せられていい。

そういう関係にならなくても、側に美少女が居るのは有難い。

クレアはトールのものだし(もっとも、逆だろうが)、美人さんだけど俺にはトールとの夫婦漫才を笑って見てることくらいの楽しみだったりするからね。

うむうむ、やはり美形は眺めてて楽しいものだ。

そんな感じに、俺はアイリスとレイナの顔を見て安心するのであった。