なんだかんだあってパレンラトス王国の勇者様に勝負を挑まれてしまいました

「よしみんな起きてきてないな」


 朝早くから外に出かけているわけだが、それには理由がある。それはみんなもいずれわかることだろう。


 まあ昨日呼ばれたから今行っているんだけども。


 いやでも何かの間違いとかあるしさ、昨日の覆面野郎がもう実名を言っちゃってはいるが、最後まで希望を持とう。


「とりあえず朝飯からだな。腹が減ったら何とやらと聞くし」


 そこの串焼きでも食べるか。


「いらっしゃい! 三度の飯より冒険者でひたむきに頑張る女の子が好き。串焼き屋さんだよ~!」


 ちょっと待て……この人確か、昨日受付に居て揉め事起こしてた人だ!


*意外と美味かった




 まあなんだ。串焼き屋が天職だったんだよきっと。


 それより俺を呼んだのはやっぱりあの勇者なのかなぁ。


 俺に伝言してきた奴が言ってたけど店を丸ごと貸切しているらしい。それをできるやつで俺の知り合いなのは相当限られてくる。


 そしてわざわざ呼び出してきたってことはやっぱり奴なんだろう。十中八九罠だろうけどとりあえず向かってみるか。



        ◇



 店に入ると店員さんに連れられて、大きな食事するところまで移動することに、そして......


「相変わらずアホ毛も元気そうだな。同期が生きてて嬉しくおもうよ」


 エリック•リート 通称『エリート』

 俺と同期、同時期に旅に出たこいつもなかなかの変人だ。公爵家出身エリート家系。


 周囲にエリートエリートともてはやされていくうちに自分が生態系の頂点に立つ男と信じてやまなくなってしまった。ちなみに口癖は『公爵以下は黙って従え』


 コイツには確か取り巻きもいたけど、アイツらもなかなかキャラが立ってたような......いやまあ確かに取り巻きはヤバい奴らなんだが、それはまた別の機会にでも。


 それより、お前らはなんでこんな場所に来ているんだろうか? 


「この街に来ているのは別にいいけど、向かう先は決まってるの?」


 エリック陣営の仲間達がエリート様に失礼だぞ的なことを言うが、それを手で制したエリックが話しはじめる。


「僕らはこの街に何日か滞在して、その後プルルンド帝国に用事があるから向かう。これが成功すれば王国内での僕の評価が上がる。もう君じゃ届かない世界に行っちゃうかもね。いや今もそうか!」


 話を降ったのは俺のほうなんだけどなんだコイツ。いやもういいや......さっさとこの場から離れよう。だって自慢話するためだけに呼び出しただけらしいし。


 そうしようと店の入り口から出ようとした瞬間、見覚えのある人達が入り口に立ち塞がってきた。短い間だけだったけど同じ釜の飯を食った旧仲間達......


「お前らがどうしてここに......おいエリックどういうつもりだ!?」


 エリックが腰を上げゆっくり口調で勿体ぶりながら話しはじめる。


「実はね。僕らは今の君に興味はないんだ。僕らはこの街に行く理由は無かったけどわざわざユウキくんのために自らを道案内役に抜擢したんだ。感謝したまえ」


 クソが、ということはやっぱりこの誘いは罠だったか。一人で迂闊に来るんじゃなかった。ていうか今なんて言った!? ユウキってまさか......


「へー。面白そうなことやってるじゃんか......なぁハルトくん☆」


「あっ......」


 そこにはかつて俺の荷物全てを剥ぎ取り一文無しの俺を追放した勇者ユウキ一行が俺の目の前に立ち塞がっていた。


◇◇◇◇◇

次回に続く

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