夢想日記
汐端黎斗
序
もし、私が誰々であったら、何々であったらなどという想像、夢想は誰もが一度はするものだと思う。もし私がスーパーヒーローであったら、もし私が売れっ子小説家
であったら、もし私が高身長イケメン俳優であったら。様々な”私”を想像する。
また、同時に想像せずとも現実にも様々な“私”が存在し、私たちはそれらを使い分けたうえで生きている。ならば夢想の上で新たな“私”を演じることもそう難しくはあるまい。そう考えた故に私はいま、ダブルリングノートからちぎり外したこの小さな紙にむかってペンを走らせているのである。私がここに文字を書き連ね始めた理由はまあ、こんなところだ。
さて。どんな風に夢想しようか。どう新しい“私”を演じようか。“男もすなる日記といふものを、女の私もしてみむとて、するなり”だったか。私の知る限り最も古いなりすましを思い出した。そうだ。日記として書こうではないか。そうと決まれば早速新たな“私”とペンを変わろう。と、その前に。さすがにこれだけは書いておくようにしよう。
私へ。君は今日から毎日日記を書くようにしてくれたまえ。
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