ギ家族
釧路太郎
プロローグ
第1話 崩壊した家族
私は小さい時から妹が嫌いだった。
姉の私から見ても妹は可愛かったのだけれど、妹が中学生になったくらいから私の中に妹に対する劣等感が生まれていたと思う。
私が苦手だった勉強も運動もそつなくこなしている妹を見るのは嬉しさもあったけれど、悔しさも同じくらい感じていた。それが私に劣等感を抱かせた原因の一つであることは間違いないと思う。
ただ、姉妹で喧嘩をしたことは一度も無かった。
妹に対して腹が立つことは何度もあったけれど、妹が私に対して不満をあらわにしたことは無いと思う。内心はどう思っているのかなんてわからないけれど、不出来な姉の事をバカにしている様子も全く見られなかった。
家族で食事に行ったレストランで偶然私の好きな男子にあった時も、私は緊張して言葉が出てこなかったんだけど、妹は私の気持ちを察してなのか、私の好きな男子に積極的に話しかけてくれていた。
それがきっかけになったのかはわからないけれど、その男子とは妹も交えて食事に行くようにもなり、何がきっかけかは忘れたけれど、私はその男子と結婚することが出来た。
両親も彼の事は気に入ってくれているようで、彼の複雑な家庭環境の事もあり、我が家に婿入りすることになったのだけれど、私の家族も親戚も、彼の家族も誰一人として反対することなく、彼は私達の家族になった。
そんな可愛い妹の撫子も大好きな旦那の優一も私の父の信二も母の椿も、みんな私がこの手で殺したのだ。
誰一人として助かることも無く、みんな殺してやったのだ。
もちろん、このことに後悔も反省もしていない。
私は自分にされた事の仕返しをしただけなのだ。
誰も私の味方はいなかった。
誰も私を愛してなどいなかった。
ただ、それだけの事だったのだ。
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