少年期:弐~帝都学院編~

第25話 入学式

第3章開始!※エロは第4章からの予定

第3章は主人公たちの学院生活がメインです。

主人公が15歳になるまでを書きます。

学院編ではいろいろなキャラクターを活躍させたい!と思ってます。

新しいヒロインも1人、登場する予定です。


設定集に、帝国の学制についての項目を追加しました。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――






帝都の長い冬が終わり、転生してから8度目の春を迎えた。


8歳の誕生日には婚約者2人と一緒に、秘密の場所で3人だけのパーティーをした。

家族には読んだことのない本や、学院入学を記念してか文具セットももらった。



そして遂に今日、国立学院の入学式の日になった。


1の鐘の音で目が覚めたボクは、突っ込んできたシルフィと、起こしに来てくれたユリアと共にベッドルームを出た。


部屋にはすでに世話係の2人が待ち構えていた。

「2人とも、どうしてそんなにニコニコしてるのさ。」

「ふふ、殿下!早く制服着ましょう!制服!!」

「私も殿下の晴れ姿、見たいです。」

2人が手に持っていたのは国立学院の制服だ。

ご丁寧に”清潔”の魔術式付きらしい。


「今日の朝食は強制的に大部屋ですよ~」

「皇后殿下とエファ殿下に怒られてしまいますからね。」


そして2人によってあっという間に着替えさせられる。


「あらー!殿下、素敵です!かっこいい!」

「ご立派になられましたね...!」

「ありがとう。ねえ、ユリア。どう?」

後ろでボクを見つめていたユリアの方を向いた。


「あ、その...すっ、すてき...です...。」

ユリアはパッと横を向いて顔を手で覆う。

お?この反応は珍しいな。


「こっち向いてよ。これからほぼ毎日見るんだよ?」

「そ、そうでした...。でも、まだだめです...!」

「じゃあボクから見せようっと。」

ボクはユリアの顔を覆う手をとり、引き寄せる。

「あっ、殿下...!もう、仕方ないですね...。」

ユリアは少し赤くなりながらボクを正面から見つめた。


「やっとこっち向いた。」

「うう、もういいですか?恥ずかしい...」

「だめ。ユリアとは学院に行っている間は会えないんだから今補充しとかないと。」

「~っ!わかりました!じゃあ、これで我慢してください!」

そう言うと、ユリアはボクをぎゅっと抱きしめてくれた。

すぐに離れてしまったが、しっかり補充できた。


「それじゃ、朝食を食べに行こうか。父様たちにも見てもらいたいし。」

「殿下、朝から見せつけないでいただけます?私はそんな相手もいませんのに。」

「そうですね、なにか酸っぱいものを食べたくなりました。」

ちぇ、ごまかせなかったか。

「がんばってね、リリー。ふふっ」

「あ~!馬鹿にしましたね!」

「「「あはははは」」」


食卓にはすでにボク以外の家族がそろっていた。

「おはようございます!」

「ああ、おはよう。ケントもいよいよ学院か。」

「おはようケント。制服、似合ってるわよ」

「おはよう。立派になったな。」

「ケントおはよう♡かっこいいわよ♡」

「おっはよう!いい感じだね!」

「おはよ~。見違えたねぇ~」

「おはよ。いいね、よく似合ってる」

家族は皆口々にほめてくれた。


「ケント、学科は決まったか?」

「はい父様。魔研科と魔対科にしようと思います!」

魔研科は魔法研究科のことで、魔対科は魔獣対策科のことだ。

「そうか。頑張りなさい。知っていると思うが入学式では私も挨拶することになっている。ケントは先に学院に行きなさい。学院のほとんどの生徒は平民だ。いろんな人がいる。たくさんの人と知り合って見聞を広めなさい。」

「はい!」


朝食を食べ終わると、ボクは裏門へ向かった。

裏門を出たところから伸びる大通りには国立学院とそれに付属する研究所などが並んでいる。

この大通りは”学院通り”呼ばれる、帝国の学問・研究の中心地なのだ。


「じゃあ行ってくる。ユリアも頑張ってね。」

「はい!皇女殿下に勉強を見ていただけるなんて光栄です!ケント様、いってらっしゃいませ。」

そしてユリアと別れ、馬車に乗り込んだ。


しかしこの時は、ケントもユリアもまだ知らなかった。

ユリアの勉強を見るとは3姉妹による””とは名ばかりの””であるということを...。




裏門を出てしばらく行くと、大きな門が見えてきた。

貴族の生徒たちはボクと同じように馬車で来ている。


馬車で道を行く時、窓から外を見ていると歩道を歩く生徒やその親によく手を振られたり声をかけられたりしていたのだが、ボクがそれに答えているとなぜかパレードのようになってしまったのは驚いた。


校門を通り過ぎると、馬車が止まる。

「到着しました。」

「ありがとう」


入学式の会場へと案内され、指定の席に着く。

会場にはすでに生徒たちやその親たちで埋まってきていた。

見たところ、生徒だけで100人以上いる。

その中で貴族は15人くらい。同じ年齢の貴族の子は少ないのか...。


そしてボクの席はなぜか2人くらい座れそうなソファだったのだが、すぐに理由が分かった。

「ケント君!おはようございます!」

「おはよう、エリー。制服、似合ってるね。」

ボクの隣に座ったのは、マイ・エンジェルことエリーだ。

SI☆KA☆MO☆ 今日は制服なのである。

いい。実にイイ。国立学院のすばらっしい制服がエリーをさらに可愛くしている!!

「えへへ、ありがとうございます!ケント君も素敵ですよ!」


『皆様、まもなく入学式を開始いたします。席へお戻りください。』

魔道具で拡張された声が会場に響いた。


会場のざわめきは控えめになり、皆が席へと戻る。


『それでは本年度の入学式を開始いたします。最初に、当学院の理事長でもあるガルダ皇帝陛下からお言葉を賜ります。拍手でお迎えください。』


父様が壇上へ上がると会場は盛大な拍手で迎えた。


『オルフェウス帝国皇帝、そして国立学院理事長のガルダである。まずは厳しい入学試験を突破した者、そして国政を支える貴族の子らよ、入学おめでとう。この国立学院は帝国で最も権威があり、歴史の長い学院だ。君たちがその権威と歴史を糧にして成長することを願っている。それに、学院では身分の差は関係ない。ここにいる8歳の子供は皆共に学び、共に成長していく仲間たちだ。学問に打ち込むも良し、友人を作るも良し。一度きりの学生生活だ。楽しみ、そしていろいろなことを経験しなさい。卒業する時に君たちの成長した姿を見るのを楽しみにしている。』

そう締めくくると、会場は再び拍手に包まれる。


『続いて教師代表、アルベラス教授の挨拶です。』

次に挨拶したのは白髪のお爺さんだ。

しかし、教師のローブから覗く腕はムキムキである。

イルシア姉様が見たら喜ぶやつだな...。

『皆さん、入学おめでとう。......』

挨拶の後、先程よりも控えめな拍手が起こった。


『最後に在校生代表の挨拶です。』

壇上に上がってきたのは青い髪と瞳に眼鏡をかけた真面目そうな人だった。

そしてムキムキである。いやなんでだよ。

『新入生諸君!!入学おめでとう!!俺は騎士科と魔対科所属、そして今年度代表生徒のギルバートだ!君たちの入学を心から嬉しく思う!以上!!!』

キャラが濃ゆいんだよなぁ~。メガネ&ムキムキの時点でなんとなく察したけど...。


入学式が終わると、ボクは所属する学科を用紙に記入した。

これで今日は終わりで、授業が始まるのは明後日だ。

「第一学科が魔法研究で、第二学科が魔獣対策っと。エリーはどの学科にするの?」

「私は第一学科が女子教養で、第二学科が魔法研究です!」

「じゃあ魔法研究科の授業で一緒になれるかもね。」

「はい!そうだったら嬉しいです!そうだ、お昼休みは一緒に食堂で昼食を食べましょう!」

「いいね、そうしよう。お互いにできた友人も呼ぶことにしない?」

「にぎやかな昼食になりますね!楽しみです!」


エリーと一緒に学院の中を見て回った後、それぞれの家に帰った。



えーと、明後日の2の鐘から授業開始で、教室は第四クラスか。

学科の関係でエリーとクラスが違うんだよなぁ。

まあ、昼休みを一緒に過ごせるからいいか。


遂に学院生活だ。友達たくさんできるといいなぁ。

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