電話

家に帰ると私はしばらく一人で考えていた。

それは、ホリタくんのことが好きかどうかではなく、今まで付き合ってきた人たちのことは好きではなかったのかということだ。

初めての彼氏が出来た時はすごく嬉しかったし、振られた時はしばらく立ち直れないくらい悲しかった。

2人目の彼氏、ハヤテだって最後の別れ方は確かにひどいとは思うけど、それまでは好きだと思っていたし、両思いだとわかった時も本当に嬉しかった。

でも、2人とも手を繋ぎたいとは思わなかったし、むしろ繋ぎたくないと思ってしまった。

ハルノはさっき

「好きだったら手繋ぎたいとか思うもんね〜」

と言っていた。

ということは私は本当の恋心を知らないで、勘違いして付き合っていたのだろうか。

もしそうだとしたら本当に申し訳ないと思う。

謝らなきゃ─

そう思ってスマホに手を伸ばした時ちょうどスマホが鳴った。

見てみると、中学の時の友達、エリカからだった。

》久しぶり!元気?どうしても言いたいことがあって、電話かけてもいい?


と書いてあったので、可愛いスタンプで

》いいよ


と返した。

すると、間髪入れずなるスマホ。

私も間髪入れずに電話を出ると、

「もしもし〜」

エリカの声ではなかった。

「エリカ、代わりに言っていい?」

どうやら、電話の向こうでエリカと今一緒にいるのは、同じく中学の時の友達、ヒナコだ。

「ヒナコ?久しぶり〜。エリカも。」

そう言うと、ヒナコは返事もしないで、

「エリカに彼氏が出来たんだよ〜。初カレ!」

そう、テンションを上げて言ってきた。

「ほんと?!おめでとう!」

そう私は返した。

「そういえば、ハヤテとはどうなの?」

別れたことを知らなかったエリカが私に電話越しに聞いてきた。

「んー、別れた。」

すらーっと答えると、

「えっなんでー??」

と答えるヒナコ。

「価値観の違いかな?」

そう返すと、

「そっかー」

と2人とも悲しそうに言った。

そんな2人に私は突然質問をしてみた。

「恋人と友達の違いってなんだと思う?」

すると、少しの間。

そして、恋愛経験が豊富なヒナコが答えた。

「どっちも恋愛感情があっての話だけど、友だちは好きだけどスキンシップがとれない、付き合えば手とか繋ぎ放題とかじゃない?」

やっぱりか。

「エリカもそう思う?」

恐る恐る聞いてみた。

「言われてみたらそうかも。」

2人にそう言われて、少し落胆した。

「どうしてそういうことを聞くの?」

不思議そうに尋ねるヒナコ。

「いや、ハヤテと別れた理由が私がスキンシップを嫌がるからなんだよね。私はハヤテのこと好きじゃなかったのかな?」

珍しく相談というものをしてみた。

「でも、そういうのは人それぞれだと思うから全然そんなことないと思うよ!」

励ますように言うエリカ。

もうどっちだよ!!

そんなツッコミを自分に入れつつ、それからしばらく話して電話を切って。

やはり、私がおかしいのか。

でも、エリカとヒナコに相談してちょっとモヤモヤが消えた気がする。

明日学校で、ハルノにも聞いてみよう。

そう思いながら長い1日は終わっていった。

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