第22話詩織、ストーカーに遭う その二
「なるほど、詩織殿を付け狙う輩が居ると」
祐介から事情を聞いた近藤は言った。
「されど得体が知れぬと有ればなかなか難しいですな。詩織殿、何か恨みを買うような事は無いのですか?」
はっきりとそんな事は無いと断言できない詩織が居る。モデルになりたい女の子は沢山居る。主にスカウトがほとんどなのだが事務所が開催するオーディションも有る。その上、人気雑誌はモデル志願者の憧れの対象である。詩織はそう言った争いごとが嫌いなので一歩引いているがモデル仲間の間では比較的好意的に迎えられていると思っている。貪欲に仕事を求める事は出来るが体力を含めて考えてもとても毎日モデルの仕事などできない。真冬に夏物の撮影や真夏に冬物の撮影がある。詩織には過酷であった。幸いにもファンが多く、業界の関係者からも好意的に扱われている為、トラブルとは無縁だと思っていた。
「こんな仕事ですから、嫉妬も凄いんです。誹謗中傷も有ります。悪口や陰口で嫌になるのであればこんな仕事していません」
詩織は断言した。華奢な見た目には及ばない度胸が有るようだ。
「では詩織殿、この写真、どう思われる」
「遠い距離からの写真だと思います。技術もあり、写真家かもしれません」
なるほど、写真家か。近藤は思った。
「それでは我々が順番で詩織殿の周囲を注意しましょう。何分正体が掴めぬのですから慎重に行わなければいけません」
こんな時、山崎が居ればと思ったが止むを得ない。働いている原田を除いて隊士一同が交代で詩織を尾行する事にした。
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