第20話天然理心流
祐介が道場へ荷物を運んできた。
「京都の東山堂からやっと届きましたよ」
近藤一同はオオッとどよめいた。一度はネットで購入した現代の天然理心流の木刀では細すぎる、と近藤から注文が有ったために東山堂へ別注を掛けていたのだ。祐介が近藤より寸法を聞き、そのまま東山堂へ伝えると製作可能だと言うので入院している沖田の分も含め、八振りを注文した。
「そうそう、これだこれだ」
土方が満足している。祐介が見るにとても剣とは言い難い、言うなれば丸太のようである。ある程度は近藤の流儀である天然理心流では真剣を想定してこの太さになったと言うが、木剣というより棍棒である。
「よしよし、久しぶりに皆で素振りをしようか」
梱包を取り、各々が手に取った。斉藤も居る。一同居住いを正し、正面に一礼し、素振りを始めた。
「鋭!鋭!」
と裂帛の気合を入れて素振りを始めた。祐介も参加したがとてもついていけない。近藤が祐介に声を掛けた。
「当流は多摩の田舎剣術にて洒落たものではありません。しかし一度剣を抜いたならば負けませんよ」
近藤は祐介に休憩を、そして無理をしないように勧め、素振りの列に戻った。道場では素振りが終わる気配は無い。
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