第407話 魔物の説得方法を改めて話し合った。

村の近くに住む魔物を説得しようと決まってから2日が経った。


先日魔物達をどう納得させるかの話し合いをして、方針は決まったので現在準備中。


討伐してしまってもいいのではという声があったが、どうやら簡易的な村の警備をやってくれているそうだ。


効率的ではないしただの見様見真似だが、そこまでしてくれてるのに討伐するのは……という俺の意見でその話は無しになったけど。


現在はその魔物達への住処の移動をしてもらう謝礼の食糧を纏めている、それと警備をしてくれていた謝礼も含めて。


他にも何か渡したほうがいいかと思ったが、魔物に武器を与えるのも憚られるので食糧のみに。


それに村の武具を持った魔物を来訪者が見た時問題になりそうだしな、仕方ないだろう。


食糧ならなんとでも誤魔化せる、別に調理済みの物を渡すわけじゃないからな。


「村長、ちょっと……。」


「どうしたんだ?」


ウルリケの声がしたので振り向くと、倉庫の端から覗き込むようにして俺を手招きしながら呼んでいた。


何か問題があったのだろうか、俺は呼ばれるままウルリケの所へいく。


「オーガ達、どうやって村から出すの?

その方法が分からないのに準備進めてるのに気付いちゃって……。」


「それなら問題無いよ。

 この村の冒険者ギルドのトップをしているグレーテという魔族が居るんだけど、高性能な気配遮断スキルを持ってるんだ。

 それを使えば誰にも気づかれることはない、それでさっと村を出てからその後はオスカーがドラゴンの姿になって俺達を隠してくれる手はずになってる。」


ウルリケはナーガとオーガに会いに行ってたので先日の話し合いには参加出来てなかったんだよな。


オーガを連れて来てくれれば特にいいし、出発する日だけ伝えればいいと思ってたよ。


「え、それは無理じゃないですか?」


「なんでだ?」


「ドラゴン族というだけで、恐怖で震え上がると思いますよ……それなのにその中のトップのオスカーさんですよね?

 意識すら保てないんじゃないですか……?」


……確かにそうかもしれない。


そんな事態全然考えてなかったな、皆も気づいてないのか大丈夫だという確信があるのか。


ウルリケからの指摘で俺もそれが分からなくなった。


それに武力をひけらかして追い出すような真似になっている気もするし……どうしよう。


「村長、食糧の準備は……あら、どうされました?」


俺とウルリケが悩んでいると、メアリーが俺を呼びに来た。


「実はな――」


メアリーに事情を説明、メアリーならいい案を出してくれるはずだ。




「――という意見がウルリケから出てな。

 何とかならないだろうか?」


「そのあたりは大丈夫でしょう、最近は村の警備と意思疎通が出来ると仰ってましたし。

 ドラゴン族にも手を振ったりするそうですよ、ただオスカー様は確かに威圧感が凄いかもしれませんね……。

 完全に体の大きさで決めてしまいましたから。」


「それなら他のドラゴン族に頼むか……しかしある程度大きくないとな。

 シモーネは妊娠しているから頼みづらいし、他に適任者を探すか。」


「はいはい、私がやるわよ。」


俺とメアリーで話し合っているとウーテの声が聞こえてきた。


話の内容が聞こえてたのか、ウーテがオスカーの代わりを立候補。


「お気持ちは嬉しいですが、ウーテさんのドラゴン族の姿は蛇に近いので今回の役割に向いてないのでは?」


確かにそうだ、ウーテのドラゴンの姿は他のドラゴン族に比べてもかなり異質なんだよな。


だが非常に美しくもある、俺はウーテのドラゴンの姿好きだぞ。


「違うわよ、ウンディーネ様の力を借りて空気中の水を上手く使うの。

 光の乱反射で姿を見せないようにすることが出来るわ、ただ音は聞こえちゃうけど。」


「そんな事が出来るんですね。

それなら音は私がシルフ様の力で何とかしましょう、流澪さんが音は空気の振動だって言ってましたし大丈夫かと。」


二人が力技と頭脳プレイを合わせたような解決案を出してきた、確かにそれなら何とかなる。


「お二人ともありがとうございます!

 では早速私も準備を――」


「ウルリケさん、それとは別に少し相談があるのですが。」


「あ、私も。」


「はい、なんでしょう?」


ウルリケが準備のために戻ろうとすると妻達がウルリケを呼び止める。


相談があるということはウルリケを探しにここまで来てたのだろうか。


「ここでは少し話しづらいのでウルリケさんの家に行きましょう。」


「そうね、私もメアリーさんと同じだしついてくわ。」


「それじゃあ俺も――」


「「ダメです、女としての相談なので!」」


そんな大事な相談ならと思ってついて行こうとしたが、物凄い剣幕で断られた。


ちょっと怖かったぞ。


俺は俺の仕事をしてるから、いってらっしゃい。

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