13話-5 沼を進む 奴らを本気にさせるな
私が利用する駅は雑貨屋から飲食店まで幅広い店が軒を連ねる。
本屋もあるしコーヒー屋(スタバ)もある。
隣にはヤマダ電機の本社がある。
そこも飲食店階がある。
その日、私は目ぼしいガンプラがないか玩具コーナーで見て回っていた。
当時は、ガンプラを使った小説のためにほぼ毎日ガンプラの新作や在庫整理で見かけないガンプラがないか見ていた。
ところが、その日は不漁だった。
お腹が空いた。
私は五階に上がった。
そこをぶらぶら歩く。
中華料理や韓国料理、サイゼリアなどもあるがイマイチ決まらない。
その時、「ナマステー!」と声がかかった。
振り返るとインド料理屋だった。
気が付いたら、席についてた。
客は他に誰もいない。
別のインド人がやって来た。
「メニュー表です」
「ありがとうございます」
もう、注文の品は決まっている。
「えー、と、海老カレー……じゃなくて、これとこれ」
私は文字の横にある番号を指さした。
この店の人は日本語があまり上手ではない。
「はい。○○○と△△△(上手に聞き取れない)ですね。少々お待ちください」
ウェイターの男性はキッチンに向かいヒンディー語(たぶんそうだと思う)で何か大声で言っていた。
そして、去る。
――なんだ、お前。慣れているじゃねぇか?
やかまし男が出てきた。
『うん、前に一度使ったことがあってね』
そこに、ウェイターがやって来た。
「豆の煎餅とサラダです。これ(小さな器二つ乗った容器)バジルソースと辛いソースです……あと、今の時間なら飲み物百円です」
「ありがとうございます。飲み物はコーラで」
「わかりました」
と私の目の前に置かれたのは日本の煎餅より小さい豆の煎餅とサラダ。
豆の煎餅を何もつけずに食べてみる。
「うまっ」
程よい塩加減で商品化したら売れそうな味である。
あっという間に豆の煎餅を食べ終える。
次の皿だが厄介だった。
お皿に山盛りなのだ。
私自身、レタスやキャベツが嫌いではないが生野菜には抵抗がある。
前回来たときは小さい皿にちびっとあるだけだったのに……
――インド人はサービス精神旺盛だから……
キシシ……とやかまし男は笑う。
とにかく、サラダを食べた。
もう、立派な一品になるぐらいの量だ。
食べ終えた時、私のライフは半分以上減っていた。
途中でウェイターさんが持って来たコーラを一気に飲む。
口から下品な音を出して空気が出た。
「はい、注文の品です」
本番はこれらである。
出てきたのは海老カレーと皿の上の巨大な何か。
――揚げナンだね。カロリー凄いぞ
『分かっている』
揚げたてのナンにテーブルに置いてあるナイフで切れ込みをいれる。
すると、私の眼鏡が曇る程蒸気が出る。
それを皮切りにフォークとナイフで上手にカレーを付けて食べる。
『ああ、カレーって油を食っているんだなぁ』
と実感する。
人は脂(油)を吸収することに喜び(快感)を覚えるように出来ている。
長い氷河期時代を生きた知恵である。
海老は小さめだがぷりぷりしている。
今回は、ナンの消費ペースもさほど誤差なく食べられた。
コップの冷水を一気飲みして周りを見た。
インドの流行歌(?)が流れる店内に、これまた、棚にはインド産らしきお酒(あれ、インドは禁酒の国では?)があり、その中に日本の『響』などのウィスキーなどが混ざって混沌としている。
……楽しい。
お会計をする。
入れ替わるように女性二人がやって来た。
レシートを受け取り、私は駅へ向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます