第39話 一緒の方が、もっと美味しくなる

「大分遅くなっちゃたね」

 ミツバが来た日の夜、サクラの家に帰ってきたナツメとツバキが小声で話をしながら、そーっと音をたてないように玄関の扉を開けた

「そうだね。もう、サクラとユリ寝てるかも」

「ミツバもいるかな?」

「さぁ?さすがに、帰ってるんじゃないの?」

 ゆっくりと足音をたてないように、リビングに向かう二人。電気がつきっぱなしのリビングの扉をそーっと開けると、ソファーに座りテレビを見ているサクラがいた


「……おかえりなさい」

「サクラ。起きてたの?」

「うん、なんだか眠れなくて……。さっきまでユリちゃんも起きてたんだけど……」

 と、隣で横になっているユリに目を向ける。話し声に気づいていないのか熟睡してるユリを起こさないように、そーっとソファーから立ち上がった

「お茶飲む?それとも、甘い紅茶にする?」

 微笑みながら、ナツメとツバキに話しかけるサクラ。側を通り、キッチンへと向かうサクラを目で追ってくナツメ。手際よくお茶と紅茶を用意してるサクラを見ながら、話しかける

「ミツバは?」

「お家に帰ったよ。明日も学校休みだから、明日も来るかもって。多分ここで、のんびり過ごすと思うけど…… 」

「明日もケーキ作るでしょ?」

「うーん、どうしようかな?」

 ツバキの提案にクスッと笑ってちょっと困った様子で答えるサクラ。紅茶を受け取り飲みはじめたツバキ。すると、ツバキを置いてリビングの扉を開けたナツメ。ツバキに背を向けたまま、小声で話しかけた

「……ツバキ、一緒にお風呂入るよ」

「う、うん。サクラ、ご飯も用意しててね」

 慌てて紅茶をイッキ飲みして、バタバタとナツメの後を追い、お風呂に向かってくツバキ。廊下から聞こえる二人の話し声に、クスッと笑うと、ツバキからのお願いを叶えるために、パンっと手を叩いて気合いを入れた

「ご飯かぁ……。何を作ろうかな……」

 冷蔵庫を開けて、夕御飯の献立を考えるサクラ。たくさんの食材を出して、鼻唄混じりにテキパキとたくさんのご飯を作っていると、美味しそうな匂いがリビングにも届いて、寝ていたユリが目を覚ました


「……サクラ。何してるの?」

 目を擦り、少しボーッとしながらキッチンにいるサクラにユリが声をかけた

「おはよう、ユリちゃん。ナツメちゃんと、ツバキちゃんのご飯作ってるの。ユリちゃんも食べる?」

「食べるー」

 二人楽しく会話をしながら、夕御飯の準備が進んでいく。

たくさんの食事がテーブルに並んだ頃、お風呂が終わったナツメとツバキが、リビングにやって来た


「あれ?ユリ。起きたの?」

 ご飯を運んでいたユリに声をかけたナツメ。その横を通っていったツバキが、テーブルにあるおかずをつまみ食いしている

「うん。美味しそうな匂いで起きた」

 ナツメに返事をしながら、ツバキの頬を軽くつまんで怒るユリ。気にせず他のおかずにも手を伸ばすツバキを怒っていると、ご飯を持ってきたサクラもリビングにやって来て、急に騒がしくなっていたリビングを見て、テーブルにご飯を置きながらサクラが微笑んでいると、側にあるソファーにナツメが座った。まだおかずの取り合いをしているユリとツバキを呆れながら見ているナツメ。そんなナツメを見て、サクラがクスッと笑って話しかけた

「ご飯の用意出来たから、みんなでご飯食べよう。一緒の方が美味しいもんね」

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