#685

エレメント·ガーディアンの集団を倒して戻ったライティングとトランスクライブ。


さらに、メモライズとまだ町にいたエレクトロハーモニー社のラムズヘッドを交え、ジャズたちは再び話をすることに。


「食事をしながらで申し訳ない。この後も仕事が詰まっているものでね」


ライティングは義手を伸ばして、テーブルに置かれたスープを食べ始めた。


その隣では、トランスクライブがブライダル特製タコスを頬張っている。


「どうだいロン毛マッチョの兄さん。私の作ったタコスの味は?」


「これってお前が作ったのか? そういえばさっき生地を仕込んでたな。まあ、オレは味とかよくわかんねぇけど、ウマイよ、こいつ」


トランスクライブの反応に笑みを浮かべたブライダルの横で、ジャズは辛くないのかなと、表情を歪めていた。


「食べ物の話なんてどうでもいいだろう。それよりも話を始めよう」


「ちょっと待ったサーベイランス! 私のタコスをどうでもいいとは聞き捨てならんよ!」


サーベイランスは、喚き始めたブライダルを無視して、ライティングとラムズヘッドのほうを見た。


そして、何故ラムズヘッドがこの場にいるのかを訊ねる。


「この男は関係ないだろう。これから大事な話をするんだ。部外者には出ていってもらいたいのだが」


小さな機械人形の慇懃いんぎんながら強い言葉に、ラムズヘッドはその大きな目をギョロギョロと動かして笑う。


「酷いな、ロボット君。俺はこう見えてもオルタナティブ·オーダーの支援者だよ。つまりはスポンサー。十分にこの会合に参加する権利があると思うけど?」


「この集まりはジャズ·スクワイアとライティングの話し合いの場だ。ようは身内の話し合い。たしかラムズヘッドといったか? お前は他人の家族の話し合いに首を突っ込む人間なのか?」


サーベイランスの物言いに、ジャズが慌てて口を開く。


「ちょっとサーベイランスッ! そんな言い方はないでしょッ!? すみません、ラムズヘッド……さん」


「ラムズヘッドでいいよ。しかし、困ったな。ここでの話を聞いておかないと、こちらの補給も遅れる可能性が出てしまう」


ラムズヘッドの言葉を聞いたサーベイランスは、不愉快そうにため息をつくと、もう何も言わなかった。


ブライダルがそんな彼の小さな背中をポンッと叩く。


「しょうがないってサーベイランス。このギョロ目のお兄さんはオルタナティブ·オーダーのスポンサーなんだ。つまりエゥーゴでいえばウォン·リーの立ち位置なわけで、口を出さなきゃならんキャラクターなのよ」


サーベイランスはなだめてくるブライダルを無視したが、彼女はニヒヒと笑っていた。


「では、始めてくれ。まあ、何を話そうがお互いに変わらんと思うけどね」


ラムズヘッドがそう言うと、サーベイランスは彼のことをにらむように見ていた。

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