#550

――バイオニクス共和国でメディスンが皆に指示を出していたとき。


ミックスたちは永遠なる破滅エターナル ルーインの大型航空機で、宗教団体の最高指導者――イード·レイヴェンスクロフトがいると思われる場所を目指していた。


ジャズが調べたところ、彼女たちが乗り込んだこの大型航空機は自動操縦オートパイロットに設定されており、このまま乗っていれば勝手にイードのいる目的地へ辿り着くはず――。


先ほど外へ放り出した永遠なる破滅エターナル ルーインの幹部――メゾンマルジェラの口ぶりや航空機の運航状況などから、ジャズはそう予想していた。


それから彼女はメイカを説得。


永遠なる破滅エターナル ルーインの主力がバイオニクス共和国へ向かっているのなら、これは絶好の機会。


逆に手薄になった敵の本拠地にへ奇襲をかけられると、声高に訴えた。


メイカはこれを承諾し、イードとの直接対決を決める。


その場で殆ど空気になっていたミックスとロウルも、二人の考えに乗ることとなった。


「そういえばロウルさんとメイカさんってどういう知り合いなの?」


機内の空気が重たいせいか。


ミックスが何か会話をと思い、ロウルとメイカの関係を訊ねた。


そんなミックスの意図を察してか、ロウルが場を和ますような口調で答える。


「あぁ、古い友人がいてな。メイカはその人の屋敷に住んでいたんだ」


「へぇ、ロウルさんってクリーンとかブレイクともそうだったけど。他の国にも友だちが多いんだね」


「そうだなぁ。俺はまあ、出会いに恵まれてるから――ッ!?」


ロウルがミックスに返事をした瞬間――。


彼らがいた操縦席のある大広間へ、バスケットボールほどの球体が四つ投げ込まれた。


ミックスは慌ててジャズを抱えてそれを避ける。


ロウルは球体を叩き落し、メイカがオーラで防ぐと球体から発せられた電力のようなものによって地面へと引きつき、身動きを封じられてしまった。


「行くぞブライダルッ!」


そして、男の声と共にブラスターが放たれ、ジャズは背負っていたジェットパックを起動。


飛び上がって放たれたブラスターをかわし、ミックスも転がって避ける。


男は二丁のブラスターハンドガンを手に、ジャズのようにジェットパックで空を飛び、彼女を追いかける。


そして、後から飛び込んできた少女――ブライダルが嬉しそうに笑いながら分厚い刃の柳葉刀りゅうようとう――青龍刀でミックスへと斬り掛かる。


「ハッハァッ! 久しぶりだね適合者のお兄さんッ!」


「お前は……ブライダルじゃないかッ!?」


以前に、ストリング帝国の城塞での紛争で戦ったことのあった傭兵の少女を見たミックスは驚きながら機械化――装甲アーマード


青龍刀の大きな刃を弾き返す。


「今度は永遠なる破滅エターナル ルーインに雇われたの!?」


声を張り上げたミックスは、次の瞬間に蹴り飛ばされた。


それは先ほどジェットパックで飛んでいた男による攻撃だった。


「全員動くなよッ! 動いたらこのガラクタ野郎をこんがり揚げてやるからなッ!」


そして、ブラスターハンドガンを倒れたミックスに突きつけ、男はその場にいる者らに向かって叫んだ。

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