#501

――サーベイランスは高笑い、ウェディングとラヴヘイトがブレイクたちへ襲い掛かっていたとき。


爆破されたアーティフィシャルタワー内で、一人の幼女――サービスが泣いていた。


彼女はルーザーリアクターの自己再生能力により、爆破後も生き延びていたのだった。


「あたしのせいだよぉ……。あたしのせいでみんなぁ……うぅ……」


崩れた瓦礫に埋もれながら、身動き一つせずにただ涙を流すサービス。


彼女の力ならこの程度の瓦礫など簡単に退かせるのだが。


自分がサーベイランスの罠を見抜けなかったこと――。


さらに、ノピアや特殊能力を持つ子どもたちが犠牲になったことで落ち込み、立ち直れずに動けないでいる。


「こんなことになるなんて……ぜんぶ、ぜんぶあたしのせいで……」


サービスはこの世界で生まれてからまだ日が浅い。


同じくルーザーリアクターで動いているサーベイランスは、その身体をグレイファミリーに与えられる前から、インターネットで世界中のことを見て知っていたが、サービスは人間でいえば赤ん坊と同じようなものだった。


その高度な人工知能により言葉も文化をすぐに覚え、なんでも理解できるが。


芽生えたばかりの感情に――罪悪感に押し潰されそうになっていた。


サービスが一人瓦礫の中で埋もれていると、そこへ一人の女性が現れる。


「大丈夫か?」


女性はそうサービスへ訊ねると、彼女の身動きを封じていた瓦礫を掴んで放っていく。


そして、あっという間に瓦礫がなくなると、独り言を呟き続けるサービスに女性は言う。


「おい、私を見ろ」


サービスは泣いていた顔を上げて女性の姿を見た。


白銀の髪色――。


さらには義手なのだろうか。


その片腕は白くメタリックな金属だった。


女性はサービスの目を見つめて言葉を続ける。


「まだ戦えるか?」


「あたしのせいなんだ……。あたしのせいでみんなが……」


サービスは質問されていても、自分の気持ちを吐き出すだけだった。


女性はそこらに置いていたガトリングガンを手に取ると、サービスの前に屈む。


「ロボットがそこら中を這い回っている。お前は、そいつらを止めるために動いているんじゃなかったのか?」


そして、顔をグッと寄せて再びサービスのことを見つめた。


「私は大事なもののために戦う。そのためにここへ来た。お前もそうだろう? 自分が何をしたとかは関係ないはずだ」


「あなたは……一体……?」


サービスはその身を震わせながら訊ねた。


白銀髪の女性は、そんなサービスに手を差し伸べて名乗る。


「私は……」

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