#441
人混みの中へと消えてくブレイク·ベルサウンド。
ミックスは何故かすぐに彼を追いかけようとしたが、ジャズがその肩を掴んで彼を止める。
「あいつと会ってどうするつもりなの?」
「いやだって、クリーンが連絡が取れなくなったって言っていたから……」
現在、ジャズの叔父であるブロード·フェンダーにより、ブレイクの妹であるクリーン·ベルサウンドはストリング帝国にいた。
それは、ベクターが
だが先ほどミックスが述べたように――。
クリーンは兄と急に連絡が取れなくなり、彼の身を案じていたのもあってミックスはブレイクを追いかけようとしていたのだった。
ジャズはミックスの肩から手を離すと言う。
「きっとあいつは今、クリーンを巻き込みたくない状況にいるんだよ。だから連絡をしないんだ」
「だったら尚更追いかけないとダメじゃないか!」
「あいつが心配されて、はいそうですかってクリーンに連絡すると思うの? あいつのことは、あたしたちが口を出すことじゃない。ともかく今は会場へ行きましょう」
「……わかったよ」
口では納得しつつも腑に落ちない様子のミックス。
ジャズはそんなミックスの姿を見て、どうしてこうも彼はお節介なのだと思っていた。
(自分を半殺しにした相手を、どうしてこんなに心配できるんだよ、こいつは……)
だが、彼女はそういうところは実にミックスらしいと考え、俯いている彼の手を引いてエレベーターへと乗り込む。
それからスーツ姿の者たちと共に、上層階へと到着。
公開会議の会場は、入って正面中央に高い椅子のある席があり、それを中心に囲うように段差のある席が設けられていた。
後ろの席ほど高く、前の席ほど低くなるように造られたものだ。
「わぁ~、いかにも政治とか話していそうな会場だなぁ」
ミックスはキョロキョロと会場を見回していた。
どうやらもういつもの彼に戻ったようだ。
ジャズはそんな気持ちの切り替えが早い彼を見て安心すると、空いている席へと座ることにする。
「ごめんジャズ。ちょっとトイレ行きたくなっちゃった」
「あんたねぇ……。そういうのは先に済ませておきなさいよ」
「いやそれはジャズが……」
「いいからさっさと行ってきなさい。席はあたしが取っといてあげるから」
「なんだよその言い方は。元はといえばジャズが……」
「ほらほらブツブツ言ってないで急ぎなさいよ。早くしないと公開会議が始まっちゃうよ」
ミックスはそう言うジャズに不満を持ちながらもトイレへと向かった。
そして、用を足し席へと戻ろうとすると――。
「あれは……ジャガーッ!?」
通っている戦災孤児の学校の同級生であり、ジャズの双子の弟――ジャガー·スクワイアの姿を見つける。
ジャガーは関係者だけが入れる通路へと入って行く。
ミックスは彼を追いかけた。
そして、そこでジャガーへ声をかけようとすると――。
「お久しぶりです。ノピア将軍」
オールバックの髪型をした深い青色の軍服の男――ノピア·ラッシクと顔を合わせていた。
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