#431
ジョルジは考えていた。
この男を倒すにはどうすればいいのか。
ロウル·リンギングは神具を持つ者――啓示を受けた
先ほど仕留め損ねた――。
自分の力量も神具のことも理解していない愚かな女――メイカとは違い、自分ができる限界まで力を引き出せるはずだ。
いや、そもそも神具無しでもこの男はとんでもなく強いのではないか?
先ほどの一撃は神具による身体能力の向上以上の威力だった。
その証拠に、間一髪のところで首に
それと、自分たちを見ただけで瞬時にどう攻めてくるのかを察したのだろう。
そのため、あの漆黒のバイク――神具であろうものでエンポリを吹き飛ばされてしまった。
(ここは神具を二つ手に入れるチャンスだが……。相手がこの男でそれが可能か!?)
「立てねぇんなら立たせてやるよ」
呻きながら顔を上げるジョルジを見たロウルは、その体を掴むと強引に立たせた。
先ほど喰らったラリアットがまだ効いているのか、ジョルジはされるがままだ。
ロウルはそんな彼を見ると、戦う気が失せてきたのか、大きくため息をつく。
「根性とか精神論とかってのは好きじゃねぇんだが。もうちょっと頑張れんじゃねぇか、なぁ?」
「たしかに、お前の言う通りだ……。あいつは頑張ってる……」
ジョルジがそう返事をすると、突然ロウルの側面から輝く白い光――
それは強引に立たせたジョルジの身体を掴んでいた手に当たり、ロウルが怯むと叫び声と共に人影が飛び込んできた。
「兄ちゃんを放せッ!」
弟のエンポリだった。
エンポリは兄を助けようと、全身を使った攻撃――胴廻し回転蹴りでロウルへと襲い掛かる。
「この
足に
激しく後退させられたロウルは、なんとか防御が間に合っていたが、エンポリの胴廻し蹴りの威力に冷や汗を掻く。
「大丈夫兄ちゃんッ!?」
「ああ、助かった。お前がいなかったらやられていたな。ありがとうエンポリ」
「俺が兄ちゃんを助けるのは当たり前だろ? そんなことよりも
首をゴキゴキと鳴らしながらロウルは、アルマー兄弟へと向かって来ていた。
ジョルジとエンポリは両手の掌を開いて円を描くと、光を放ちながら拳を握る。
身構えたアルマー兄弟に向かってロウルが口を開く。
「お前ら兄弟か。仲が良いんだな」
先ほどの攻撃のダメージがないのか。
ロウルからは痛みによる動きの低下が見られない。
渾身の一撃を当てたエンポリは、歯を食いしばって悔しそうに笑う。
「ハハハ、本気でやったんだけどな。やっぱスゲーはハザードクラスは。イード様くらいヤバいね」
「だが、ここで引き下がれんぞ。俺たち二人で奴を殺る」
ロウルは、身構えるアルマー兄弟に向かって笑い返す。
「ガッハハッ! 殺れるもんな殺ってみろよッ!」
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