4 櫻子はカウンセラーになったつもりで、男達の相談に乗る
それから2か月後、櫻子は長谷部という男に会った。何回かメッセージの遣り取りをして、相手から会って話したいと言ってきた。彼にはゲームサイトで知り合った彼女がいて、もう2年間も遠距離で交際をしているらしい。遠距離といっても東京と静岡で、1ヵ月に1度は会っているようだった。ただ、彼はいわゆる草食系男子らしく、彼女とは男女の関係はあるが、会う度に彼女から求められるのが嫌だという。
櫻子は、彼女もいる事だし、草食系なら危険はないと判断し、会う事にした。
「長谷部さんは、彼女が嫌いな訳ではないよね。今、年はいくつ?」
「もうすぐ30歳になります。彼女のことは好きですし、結婚も考えましたが、3次元の女性が苦手なんです。バーチャルな女の子の方が魅力的で!」
草食系男子にありがちな、疑似恋愛を好むタイプだと、櫻子は判断した。こういう男は、可愛い女の子をそばに飾っておきたいのであって、心や肉体の結び付きは二の次なのに違いない。彼女がどんな女性かは分からないが、それ以上愛されない事を気の毒に思った。
続いて会ったのが、黒岩
「チェリーさんは可愛いね!僕のタイプかも。でも、安心していいよ。何しろできないんだから、変な気持ちにはならないから。」
「変な気持ちとは、私に性的欲求を抱かないということですよね!お話しすることで、力になれれば良いですが、時間が掛かりそうですね。」
櫻子は自分がカウンセラーになったような気になって、自己満足していた。また、彼に対しての関心が高く、頻繁に会って話をするようになっていた。しかし、彼の悩みを解決する手立ては見つからないままだった。
黒岩と初めて対面してから、櫻子は2カ月間に4回会っていた。その間には、最初の女性恐怖症のロミオとも会って、実習指導と称して彼女からホテルに誘ったことがあった。男性とホテルに入るのは初めてで緊張していたが、実習のためと割り切っていた。一方、彼の方は櫻子以上に緊張し、がちがちに震えていた。二人にとって、ラブホテルではなくシティホテルを選んだのは、せめてもの正解だった。
「さて、ロミオさん。どうしたい?まずはキスしようか!」
「キスはちょっと…。したことないし、どうすれば良いか…。」
そういう彼に、櫻子はそっと唇を重ねた。彼の震えが伝わってきて、彼女にとっても高校以来で、久し振りのキスの感触を味わった。
「どうだった?初めてのキスは。私なら怖くないでしょう!」
「怖くはないですが、小学生の時にキスはされてたから、初めてでないです。」
櫻子は納得して、次の行動に移った。彼の手を取って自分の胸に触らせた。
「どう?胸の感触は。自分から何かしたくならない?」
「気持ち良いです。動かしても良いですか?」と言って、彼は胸をもみ出した。櫻子は良い傾向だと思い、彼をベッドに誘って横になった。その後は彼の好きにさせたが、最後までは許さなかった。
ロミオは喜んで、櫻子に感謝していた。櫻子が好きになったから付き合いたいと言ってきたが、丁重に断って別れた。
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