少女たちの春[第2部]

秋夕紀

彼女たちの24歳~2年前の成人式~

1 成人式の後、集まった5人はそれまでの恋愛経験を語る

 高校を卒業して2年、地元で開催された成人式に5人は出席した。式が終わったその夜に、彼女達は集まる約束をしていた。居酒屋はどこも予約でいっぱいで、中華料理屋の個室を坂上花純かすみが取っていた。久々の再開を喜び合い、話に花が咲いた。しばらくして朝比奈あんが、皆に提案した。

「高校に入ったばかりの時にしたみたいに、陰の自己紹介をしてみようか。」

「ああ、あれで皆が打ち解けたんだよね。」と南真莉愛まりあが言った。

「でも、今さら自己紹介はないでしょ!」と言ったのは、鴫野しぎの芹菜せりなだった。

「今の近況を報告がてら、やっぱり恋愛談が訊きたいよね。どう?」

 白石櫻子さくらこの積極的な意見を取り入れて、5人は話し始めた。


花純「では私から。坂上花純で、名前はいらないね。成長はあまりしてなくて、

バストも5年前と同じAカップのままだけど、少し形が良くなった。そん

な事は言わなくても良いか、恥ずかしい。今は大学に家から通っている。

日本文学を専攻してて、教職課程を取り始めた。いずれは教師を目指して

いる。これまでに恋愛経験はなし。」

「恋愛経験なしって、キスもまだ?好きな人とかいないの?」

花純「まだだよ。男の人が怖い訳ではなくて、何だろう、付き合ってみたいと

か思わないんだよ。気になる人は、ゼミの先輩にいるけど、彼女がいるみ

たいで、遠くから憧れているだけ!」


真莉愛「次は私の番で良い?短大だから、もうすぐ卒業だよ。保育士の免許を

取って、一応就職はできそう。今は、花純の前だけど、花純のお兄さん

と付き合ってる。それから少し太ったみたいで、Cカップがきつくなっ

てきた感じ。高校の時は、お世話になりました。」

「花純のお兄さんと、高校の時からなの?今は、どこまで進んでいるの?」

真莉愛「卒業してから、花純が手を貸してくれた御蔭かな。どこまでかは、妹

さんの前では言い難いから、勘弁して!」


 花純の初心な様子に、他の4人は純真だった頃の自分を重ねていた。真莉愛の一途な恋には、応援してやりたい気持ちになっていた。

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