第24話 変化-4 & 冒険者ジルク-17
身体が重い。心が重い。動きたくない。動けない。
そんな意識を浮かべて現実に少しずつ浮上する。現実の最後の光景は何だったかな。ローズの横顔だった気がする。涙目だったようにも思える。
私はどうなってるのだろう?。確かドワーフの一撃をマトモに喰らい、ぐしゃぐしゃに千切れて吹き飛んだような覚えがある。
死ぬと予想してかなりギリギリのタイミングで回復魔術を使ったけど、それだけでここまで回復するような魔術じゃない。
「私は……。……ローズ!?」
ぼーっとしていた意識が目の前の光景に、顔をひっぱたかれたかのような衝撃で起こされる。
前のめりに倒れているローズの、魔力が既に消えかけている。重傷を受けている上に魔力を限界まで使ったようなボロボロの姿だ。すぐに回復魔術を使わないと死ぬのは間違いない。
「ローズ……!」
だが力がまるで入らない。なんとか這って動くことこそできるものの、これでは間に合わない。
手は……ある。私の魔力は何故か分からないがそれなりに回復している。魔術による身体強化を使い、無理やり立って動いて回復魔術をローズに使えばいい。
「……ローズ。ごめんね」
一瞬の躊躇と謝罪。それと同時にジルクは魔力を使い、自らの身体を強化する。ただでさえもう帰ってこれない、その領域のギリギリのラインまで既に侵食は進んでいる。
そこからジルクは更に深淵に踏み込む。そこはもう支配されても受け入れるという領域。ジルクという人間の感性が少しずつ消えていく。それが帰ってくることはなく、ジルクという人間性がなくなっていくと言い換えても間違いではなかった。
「でも……助けるから」
立ち上がったジルクはローズの傍へと歩み、しゃがんでローズを仰向けに翻す。そのまま顔を持ち上げ、唇を重ねて回復魔術と魔力を注ぎ込んだ。
全ての魔力をローズへ注ぎ込み、ジルクという人間性は侵食に呑まれ朽ちていった。
「楽しませてもらいましたよ。私の可愛いジルク」
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