白い兎の行く先は7

「っ!」

御影の代わりに目の前に突然現れた謎の美少女。

御影の姿はそこにはなく、要舞は思わずくるりとした瞳を大きく開かせた。

「ほら、ちゃんと魔法少女でしょう?☆」

可愛い?とメリルが問いかける。

「…………」

まだ脳の整理が出来ていないのか要舞が固まった。

夏の暑さで幻覚を見ているのかもしれない。

「あっれぇー☆いっちゃん大丈夫ー?」

要舞の目の前でふりふりと少女が手を振った。

どうしたら良いかわからず、がし、とメリルの肩を要舞が掴む。

「どういう原理!?」

思わず要舞が叫んだ。

その言葉にうーんとメリルは首を傾げる。

「えー、うーん?どういう原理も何も、ただの魔法少女だよ☆ほら、可愛い可愛い魔法少女!キュートでプリティな女の子☆」

可愛いでしょ☆と頬に手を当ててきゅるんと微笑む。

「……ちょっと整理させて欲しいかも」

要舞は現実を受け止めきれず頭を抱えた。

非現実的な事が起きたせいか頭が痛い。

「うんうん☆いいよいいよ☆やっぱり最初は驚くよねー☆でも、メリル的にいっちゃんは魔法少女の才能があると思うんだよねー?」

だからさ、一緒にこの学園で慈善活動しない?

そう、メリルが問掛ける。

その言葉に一つの疑問が浮かぶ。

それは要舞にとっては大切な事だった。

「ねぇ…それは、誰かに愛して貰えるものなの…かな?」

思わず絞り出した言葉が零れる。

その言葉に穏やかにメリルが笑った。

「うん☆勿論!私たちは沢山の人に見てもらえて愛されるよ☆」

だから、一緒に魔法少女になろう

そう微笑んで要舞へと手を差し伸べる。

太陽がメリルを照らしていた。

「そうなんだね。まだ、信用は出来ないけど…それなら…友人の…御影の頼みなら…


僕は君と一緒に魔法少女になりたいな」

愛してね?と穏やかに微笑んで要舞はメリルの手を取る。

ふわ、と風が吹いた。

首に掛けていたさくらんぼのネックレスが光り出す。

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