白い雪のティアドロップ5
「う、うあ゛あ゛あ゛」
月が綺麗な夜のこと、部屋中に苦しみに悶えた大きな呻き声が響き渡った。
隣の部屋から声を聞きつけた在舞。
何事かと隣の部屋の声の主、要舞の部屋の扉を勢いよく開ける。
「どうしたの!イル!」
寝台の上で要舞が苦しいのか、頭を抱えのたうち回っていた。
「大丈夫!?寮母さん呼ぶ!?」
在舞は要舞の方へと近づけば、落ち着かせたくて背中を擦ろうと手を伸ばす。
「触るなっ」
要舞が警戒してか、咄嗟に在舞の手を払う。
「あ……ごめん…」
在舞の顔を見て冷静になったのか要舞が固まる。
「その……大丈夫…?」
心配そうに在舞を見つめた。振り払っ手しまった手を眉を下げて見つめる。
「ううん、大丈夫……イルこそ大丈夫……?」
心配、と在舞が振り払われた己の手を握りしめる。
「ありがとう、大丈夫。アルごめん、少し一人にさせて欲しい……な…」
要舞が声を絞り出すように謝る。
「わかった……」
申し訳無さそうに眉を下げて、無理しないでと扉を締める。
在舞が居なくなった部屋。
ぽつり、と一人孤独な部屋。
思い出してしまった大切な思い出。
誰にも見せたくないと布団を被れば思わず涙を流す。
「ぅ……メリル…………ううん、御影……」
ごめん……ごめんなさい……
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