その日は花が立てられて4
ぽとり、
「あ、」
思わずゆうきの口から声が零れた。
床には落ちた反動で潰れたデミグラスソースのかかったハンバーグ。
デミグラスソースは靴下へと飛び散り無惨な事になっている。
ゆうきは思わずへにょ、と眉を下げた。
「大丈夫、ゆうきくん」
ボクのをあげようかと之彦がゆうきの皿の上にハンバーグを置いた。
いいんですか、と瞳を輝かせ之彦の方を見つめる。
「ありがとうございます」
礼を言えば今度は落とさないように口へと運んだ。
ふわ、と肉汁が口の中で弾け飛ぶ。
あまりの美味しさに思わず笑顔になった。
「良かったな……ゆうき」
ご飯を食べ終えて食器を片付け終えた標がゆうきの頭をぽんぽんと片手で軽く叩く。
「あ、標くん……ありがとうございます」
ついでに落ちたハンバーグを片付けてくれた標にふたたび礼を言う。
「どーいたしまして!これくらい気にすんなよ。靴下一旦水洗いしねぇとな……」
洗い方教えてやるよと標がついでだとゆうきの靴下を脱がす。
その様子を見て之彦が笑った。
「ふふ、なんか、至れり尽くせりだね。お母さんとムスコみたいだ」
その言葉に標とゆうきは顔を合わせた。
そしてゆうきがにこやかに笑う。
「ありがとうございます、お母さん」
「誰が、母さんだ!」
思わずツッコミを入れた。
どっ、と笑いがおきる。
幸せだなぁとゆうきは幸せを噛み締めた。
キラリ、と手に付けられた指輪が光る。
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