特別編  降谷ゆうきの献身

『大切な人を幸せにしたい』

それがゆうきの父の口癖だった。

その言葉を父が紡ぐ度に、彼が泣きそうな顔をしているのはどうしてだろう。

幼いゆうきには

何も

わからなかった。

父さんが何を背負っていたのか。

何を思ってこの世界に立っているのか。

どうして人を幸せにしたかったのか。

父は言う

『一番幸せにしたかった人と喧嘩をしてしまって、それ以来もう二度と会うことが出来なかった』と。

そして笑顔で頭を撫で続ける。

『だから、お前は後悔をしないように生きて欲しい』

それが幼いゆうきが父から託された言葉だった。

そんな言葉を聞いてか、ゆうきの口癖は

『大切な人を幸せにする為に守りたい』

となる。

ゆうきの全ては父によって形成されていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る