ユニコーンは夢を駆ける3

その日はとても天気が良かった。

協会の外で二人の少年が石畳の階段に腰掛けている。

一人の幼い、クリっとした瞳の少年が空を仰ぐ。

いい天気だなぁと足をぶらぶらとさせた。

ふと、何か思いついたのか隣に居た少年に提案をする。

「ねぇ、魔法少女を作ろうよ」

唐突な彼の言葉に思わず眼鏡の幼い少年がきょとん、とする。

「魔法少女……?」

思わず眼鏡の少年が問いかけた。

「そう、魔法少女!みんなが幸せになれる魔法少女!あいつだってそういうの好きだっただろう?」

クリっとした瞳の彼に手を握られた眼鏡の少年が戸惑った様に相手の方を見た。

「確かに……そうだけど……でも、僕たちがどうやってみんなを魔法少女にするの……?」

眼鏡の少年の言葉にうーんと、彼は考える。

「それはこれから考えるよ!」

彼の言葉に思わず瞳を開いた。

「これからなの!?」

考えてたから言たのかと思ってたと思わず呆れた様な声を出す。

「ごめんごめん!これから、これから考えるからさ!」

だから、一緒に~と強請るように彼の肩を揺さぶった。

「わかった、分かったから揺らさないで……」

酔っちゃうから、と彼の手を握り締める。

彼の承諾の言葉に嬉しそうにぱぁ、と目を輝かせた。

「まじか!ありがとな!流石だわ!」

サンキュ!と嬉しそうに抱き締める。

空が青く澄み渡り、渡り鳥が羽ばたいていた。

首に掛けていた指輪の着いたネックレスを強く握りしめる。

いつか、いつか、沢山の人を、隣にいる少年を幸せにしたい。 自分は良いから、皆の喜ぶ顔が見たい。


そう、二宮御影は強い想いを胸に願う。

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