十八章 イカロスは太陽に出会う事は出来なくて
今日はとても天気が良い。お出かけ日和で良かったと璃音が安堵の息を零す。
今日は日曜日。杏果と近場の広場で待ち合わせをしていた。
どうやら美味しいクレープのお店があるらしい。
マインで杏果が行きたいとずっと言っていたから、璃音が一緒に行かないかと誘った。
杏果はもちろんと承諾してくれて、璃音は心踊っている。
早く彼女に会いたくてたまらなかった。
女の子の扱いは慣れていないが大丈夫だろうか。文化祭の時みたいに接すれば良いのだろうか。
そう、悩みながら広場へと向かう。
広場には沢山の人がいて、その中から杏果を璃音は探した。
サラサラの腰あたりまである、茶色い髪をふたつに束ね、白いブラウスに黒いスカートを履いた、可愛らしい彼女を見つけた。
「杏果」
璃音が杏果へと声をかける。
噴水の傍で立っていた杏果がこちらへと振り向けば嬉しそうに笑った。
「あっ、璃音お兄ちゃん」
こんにちは、と嬉しそうに駆け寄ってくる。その姿に璃音は微笑ましく笑った。
杏果が璃音の手を取ればえへへ、と笑う。
「どうしたんだ、杏果?」
不思議そうに首を傾げれば微笑ましそうに璃音が笑った。
「今日すごく楽しみにしてたから、嬉しくて。ありがとう、璃音お兄ちゃん」
その言葉に璃音は照れくさそうに赤くなった顔を隠そうと横を向く。
「ほら、クレープ屋行くぞ」
そのまま杏果の手を握り締めたままワゴンが止まっている所まで連れて行った。
白い鳩が撒かれた餌をツンツンとくちばしで突っついている。
璃音はとても幸せだった。
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