その花は枯れを知らず11

「か、勝ちましたか……?」

溶けて消えたドリームイーターを見つめる。

自分で倒したという実感がなかった。思わず瞳をぱちくりとさせる。

「ユキちゃん!おめでとう☆」

近くでユキの様子を伺っていたメリルがユキの元へと駆けつける。彼女の手を取ればユキの両手をぎゅ、と握り締めた。

「あ、ありがとうございます!」

まだ実感がわかなかったが、メリルの言葉に勝ったんだと言う実感が駆け巡る。

心がじんわりと温かくなった。

「おーい!」

「ダイジョウブ!?」

メルルに治療してもらったのか、傷一つない魔法少女に戻った二人。

手を振りながら木々を掻き分けてユキへと駆け寄ってくる。

駆け寄った二人を見れば嬉しさが込み上げてきた。

思わず駆け寄る二人にユキはピースサインをする。

「大切な二人を守ることが出来ました!」

良かったです。

笑顔の花が咲いた。

「はは、照れるな……」

「ネ、テレチャウ」

大切という言葉に思わず照れる二人。

三人で笑いあった。

その姿をメリルは見つめている。二人の魔法少女の後から帰ってきたメルルがメリルの横へと立つ。

「あ、おかえり、メルルちゃん☆」

にこやかに笑うメリルにメルルが顔を顰めた。

「ちょっと…アンタ…魔法少女増やしすぎじゃない?」

その言葉にメリルがメルルの頬へと手を添えた。こちらへとメルルの顔を向かせれば瞳を細めて笑う。

「それくらい、メルルちゃんみたいに願いを叶えて幸せになりたい人が沢山居るってこと、だよ☆」

その穏やかに見つめる瞳にメルルは身震いする。

「そう……まあ、いいわ……」

メルルはメリルの手を振り払うと一年生達の方を見る。

「これから魔法少女ユキになりました!よろしくお願いします、二人とも」

二人が魔法少女で良かった、そう嬉しそうに笑うユキの手をシモンが握る。

「おう、よろしくな。改めて、シモンだ」

白い歯を見せて笑うシモン。

ワタシもワタシもとユアがその場で飛べば二人を抱き締める。

「ユア、ワタシユア、ヨロシク!」

幸せだなぁ、とユキは二人を思い切り抱き締める。

ドリームワンダーワールドに風を吹く。

花畑の花びらが風に吹かれて宙を舞った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る