第27話 マナー違反

・・・な、何故アル?


一体、何がどうして?こうなったヨ!?


さっきまで、みんな仲良く楽しく卓球で遊んでたのに・・・


こんな温泉旅館の従業員達が逃げ惑うハメになるなんて・・・


―――ほんの数分前―――



「「「―――アッハハハーーー!!!」」」

卓球をして遊ぶ、簡辛達が笑顔を見せる


「何アルか?マホ、全くサーブ入らないネ!!」

「黙れ、娘っ子!カンナも妾のフォローをちゃんとせんか!!」

「申し訳ございません!・・・ですが、始めのサーブは、こちらでは、何も出来ないんですよ!!」

簡辛にバカにされたマホがミスを全てカンナの所為にする


「シスター、アイツが穴アル!マホを狙うヨ!!・・・―――って、あれっ?・・・シ、シスターは!?」

隣にいた筈の聖女様の姿がどこにもなく辺りを見回す


「―――止めて下さい。」

離れた位置にある卓球台から聖女様の声が聞こえてくる


「降りなさい!卓球台そこは、イスでは、ありません。腰を掛けたければ、あそこにあるベンチへ座りなさい。」

「・・・グビグビ・・・―――プッハァァーー!!・・・何だ、このアマは?偉そうに痛い目に遭いたくなければ、消え失せな!!」

卓球台の上に座り、お酒を呑んでいるマナーの悪い、酔っ払いの巨漢の大男へ聖女様が注意する


「わたくしは、卓球台そこから降りなさいと言っているのです。」

「・・・殴られないとわかんねーみたいだな!―――っ!!」

「それは、こっちのセリフ!シスターが間違ったこと言った?」

髪の毛を頭頂部で束ねてまげを結った酔っ払いの大男が逆上して聖女様へ張り手を繰り出すがカンナが庇い受け止める


「・・・正論みたいに言いやがって、それが正しいと思うなよ!!」

カンナと巨漢の大男が睨み合い、2人が臨戦態勢へ入る


「・・・マ、マズイネ!このままだとケンカが始まってしまうヨ!!」


マホにカンナを止めてもらわないと・・・


「―――よっしゃぁぁーー!!サーブ決まった!どうじゃ、妾の実力は!!」

「何、呑気に卓球してるアルか?アレを見ろ!バカタレーー!!」

このピリついた状況で卓球を一人続けているマホにツッコミを入れる


「何を言うておる?カンナがおるから問題ないわっ!それより娘っ子、点数は、何点じゃ?オイ、オイ、聞いておるのか!?」

自分の方を見ない簡辛へマホが声を上げる


・・・ダメネ!

この幼女は、卓球に夢中でこの騒動に全く気付いていないアル!!


・・・ま

1000年に1人の武術の天才だからワタシもそこまで心配は、してないけど・・・


「―――アチョー!反省した?シスターに詫びを入れて改心しなさい!!」


・・・ほらネ!

想像通りヨ!!


いくら縦にも横にもデカイ!

ただのデブにカンナが負ける筈ないアル!!


「武術の腕は、凄いが非力だね~!それが女の限界か?酔いも覚めたし、遊んでやるか・・・!!」

カンナに返り討ちにされた大男が何事もなかったように起き上がる


・・・何ネ?

あのデブ偉そうに負け惜しみ言って!


カンナに敵うと思ってるアルか!?


「やられたらやり返す、倍返しだ!!」

「・・・・・・!!」


・・・変だな?

私の打撃は、確実に急所へヒットさせた筈なのに・・・


―――効いてない!?


アイツと私の体重差は、100㎏以上は、あるからしょうがないか・・・


あの男の戦闘スタイル、髪型、間違いない!


―――奴は、力士だ!!


初めて闘う相手だけど・・・


この力士の動きは、単純で直線的だから余程の事がない限り対処できる!問題なし!!


「張り手3倍返しだぁぁぁーー!!」

「・・・―――っ!!?」

力士の背後から突然、腕が2本生えて、襲い掛かって来る


「・・・ア、アレは、悪魔デビルズ刺青モンモンネ!!」


・・・う、腕が生え出した!

文字通り、奥の手を隠し持ってたネ!!


あのデブ刺青持ちだったアルか!?


カンナが危ないネ!

ワタシも加勢しないと・・・


「―――フグッ!!」

「腕が増えたからって強くなる訳じゃないでしょ?」

4本に増えた腕で繰り出す張り手を容易に受け流し、カウンターで力士のアゴにヒザ蹴りを入れる


「もう貴方の行動は、何手先も読みました!私には、敵いません!諦めて反省しなさい!」

「・・・何手先も読んだだと・・・なら、これも読めてたのかぁぁーー!!」

更に力士の背中からもう2本腕が生えて、カンナへ襲い掛かる


「「「―――っ!!?」」」

再び腕が増えた力士にカンナ達が驚く


・・・う、腕がまた、2本増えたネ!

腕が6本あるなんて・・・


あの男の悪魔デビルズ刺青モンモンは・・・


―――阿修羅アシュラ!?


流石のカンナも仏であり神でもある!阿修羅の悪魔デビルズ刺青モンモンを持つ相手だと厳しいアルか!?


今は、無数に襲い掛かる張り手の応酬に見事に対応して防ぎ切っているけど・・・


―――長期戦は、マズイネ!!


「・・・ハァハァ・・・ハァハァ・・・ハァハァ・・・!!」

力士の張り手は、一発も受けてないが激しい突っ張りの応酬にカンナが息を切らし始める


「・・・どうした?何手先も読んでるんじゃなかったのか!?」

力士がカンナを挑発し返す


「読めているから、決定打を一つも受けてないのよ!腕が増えても武術のレベルが上がった訳じゃないからね!!」

「まだ、読めていると言い張るか?なら、教えてくれよ!何手先まで読めているのかを・・・!!」


「「「―――な、何ぃぃぃーーー!!?」」」

力士の腕が更に4本増えて合計10本になり一同驚愕する


一体、どういう事ネ?


・・・このデブ!

阿修羅の悪魔デビルズ刺青モンモンじゃないアルか!?


阿修羅の腕の数は、6本!

それより4本多い!!


コイツは、何の悪魔デビルズ刺青モンモンネ!?


「倍返しでタコ殴りにしてやるーーー!!」

10本に増えた腕でカンナへ待ったなしで襲い掛かる

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