第24話 合流

『・・・見ろ!やっと来たぞ!!』

「本当だ!・・・あれ?でも聖女様以外にも誰か連れて来たぞ!!」

都へと続く一本道を簡辛が聖女様と女性2人を引き連れてやって来る


「遅せーよ!簡辛!!・・・お前を待ってる間に都から武装警羅隊が襲って来て大変だった・・・―――って、うおっと!!」

「・・・大変だった?山奥に美少女のワタシを置き去りにして良く言えたアルな!!」

山奥に置き去りにされた恨みを込めた蹴りを繰り出すがチェンが回避する


「流石のワタシも堪忍袋の緒が切れたネ!もう許す事は、出来ないヨ!!」

チェンの態度に苛立ちを見せる


「ま~ま~落ち着け、簡辛!悪かったよ!!あれは、ロンが勝手に・・・」

「―――聞きたくないネ!!」


・・・ヤ、ヤバい!

本気で怒ってる!!


「お詫びと言っちゃなんだが・・・都で温泉旅館を見つけたんだ!そこで今日は、ゆっくり休んでくれ!!」

「・・・えっ!?」

「走って疲れただろ?他の連中と一緒に温泉へ入って来たらどうだ?」


・・・な、何ネ?

チェンのアホも少しは、反省してるみたいネ!!


許して欲しくて必死みたいネ!

ワタシも鬼じゃないから・・・


「・・・わかったヨ!あと慰謝料も払えば許してやるネ!!」

『現金な簡辛メスだ!』

「―――黙れ、ロン!!」

簡辛に温泉旅館への案内を始める


「・・・ちょっと、待て!ゲス野郎ーー!!」

腰まで伸びた長い髪を三編みにした女性が声を荒げる


「私の知人のシスターに卑猥な行為をして、武装警羅隊を倒した公務執行妨害!そして自分の仲間の女の子を山中に置き去りにしたのに・・・―――良く平気でいられるね!!」

『・・・何だ?このメスは!?文句があるなら拳で・・・―――っ!!』

「・・・・・・これで満足?」

ロンの言葉を遮るようにチェンの頬へ拳を入れる


・・・な


―――何ぃぃーー!!


いくらロンが油断してたとは、いえ!

攻撃を躱せないなんて・・・!!


『この地域に来てから面白いメスが増えたな・・・貴様の全てを否定してやる!!』

戦闘スイッチが入ったロンが三編みの女性へ殺気を向ける


「―――コラ、!・・・また、闘う気か?雇い主の妾は、もう疲れたぞ!!」

黒の帽子に黒のワンピース、地面に着く程の長いマントを羽織った小柄な女性が止めに入る


「・・・ん?・・・ちょ、ちょっと、待て!この幼女!!今、コイツのことをカンナって呼ばなかったか!?」


聖女様が言っていた1000年に1人の天才っ!?


それなら、さっきの一撃も納得できる!!


「―――誰が幼女じゃ!クソガキ!!・・・今の時代、そんな悪魔デビルズ刺青モンモンを持つ、人間なんて久方ぶりに見たわ!!」

「・・・えっ!?」


・・・コ、コイツ!

俺のこの悪魔デビルズ刺青モンモンのことを知っているのか!?


『―――よそ見すんなよ!ゴングは、もう鳴ってるぞ!!』

「わかってるよ!鳴らしたのは、私だから・・・!!」

チェンの鋭い突きをカンナが太極拳で受け流して、カウンターで反撃を入れる


・・・なっ!

今のは、簡辛の太極拳!?


山賊ヤマザルとの闘いで使ったワタシの太極拳を見て覚えたアルか?」

簡辛が自分の動きをマネられた事に驚く


「顎下に完璧にヒットさせたのに堪えないなんて・・・やっぱりゲス野郎は、神経が図太いね!!」

カンナが攻撃の手を緩めずに畳み掛ける


この女の強さは、本物だ!

聖女様の言う通りだ!!


龍の筋力が加わった俺の殴打の応酬を何度もいなして、見事に組手を成立させている!


―――いや!


むしろカンナの武術のレベルの高さ、精度により、少し押され始めている!!


『口出しするだけは、あるな・・・!!』 「スゥゥゥーーー!!・・・―――ブゥゥゥーーー!!」

チェンが肺に大量の空気を吸い込んで、火を織り混ぜた息吹きを一気に吐き出す


「・・・・・・っ!!・・・―――ハァィィーー!!」

カンナが両手で弧を描き、チェンの吐いた炎の息吹きを掻き消す


「・・・ウ、ウソだろ!?」


今のをカンフーで防ぐなんて・・・


1000年に1人の天才という異名も伊達じゃないな!!


「―――いい加減にせんか!カンナ!!妾の命令が聞けぬのか!!」

「カンナ様、拳をお納め下さい。」

マホと聖女様が争いを止めに入る


「マホ様、申し訳ございません!シスターもゴメンね!!・・・ちょっと感情に身を任せ過ぎました!!」

カンナが自分の身勝手な行動を反省する


『何を終わった気でいる?我が止まると思ってるのか・・・!!』


・・・もう、良いだろ?ロン

納めるには、良いタイミングじゃないか!!


暴れるのは、止めろ!!


「―――思ってるよ!妾がおるのだぞ?」

「・・・何だ?この偉そうなチンチクリンは!?」


羽織ってるマントは、サイズが合ってなくて地面に引き摺ってるし、喋り方は、年寄り口調だし・・・


―――何者だ、コイツは!?


『珍しいな!魔女か・・・』


・・・ま、魔女?

魔女って・・・


あの絵本とかで見る魔法使いの事か!?


「・・・へ~・・・わかるのか?」

『そんな膨大な魔力量を纏っているのは、魔女ぐらいのもんだ!!』


・・・こんな幼女が!

魔法で空を飛んだり、物を操ったり、火や水を出したりする魔法使いなのか!?


本当に本物なのか?

架空の存在じゃないのか!?


「―――ハ~イ、今日は、御開き!御開アル!!・・・チェンは、この人数分の旅費を用意しとくネ!!」

簡辛がカンナ、マホ、聖女様を引き連れて温泉旅館に向けて歩き出す


―――オイオイオイオイ・・・!!


・・・簡辛!

この人数だと料金がどんだけ掛かると思ってんだよ!!

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