第22話 ネタバレ

「「「―――ウオォォォーーー!!!」」」

簡辛達を捕らえる為に山賊達が一斉に襲い掛かって来て、大乱闘が始まる


「・・・・・・」


・・・不思議アル!

こんな危機的な状況なのに目を奪われるネ!!


・・・いや

心を奪われたと言った方が正しいアルか・・・


三編みの彼女の繰り出すカンフーがあまりにも美しく、繊細で、皆の手本になるような完成しきった“武”そのものだから!!


「・・・ハァイィィーー!!」

「―――グハァァーー!!」

巨漢の男の胴体へ掌底を打ち込むと後方へと吹き飛ばし、周囲の山賊を巻き添えにする


「・・・ゴリラ女め~!!」


・・・この三編みの女!

ワタシと体格差は、ほとんどないのに・・・


―――本当に凄いアル!!


自分の体重よりも重い相手を吹き飛ばすのは、簡単に出来ることじゃないネ!


それを今の技が力技じゃないことを証明しているヨ!!


身体の筋肉を限りなく無の状態まで脱力させて、攻撃する瞬間にだけ力を入れて、全体重を乗せた一撃は、凄まじい威力と破壊力を生み出す!!


元来、武術とは、力無き者が強者から身を守る術として編み出されたのが技!

それを完璧に体現できているのが素晴らしい!!


―――そこにシビレる憧れるネ~!!


「・・・アイィィーー!!」

「―――グフッ!!」

三編みの女性の蹴りを受けた山賊が倒される


「・・・あのゴリラ女、足技もあるのか!?」

山賊が三編みの女性の武術に驚き、警戒する


山賊ヤマザルには、今のは、ただの蹴りに見えたと思うが・・・


実際は、右足による3段蹴り!

男のアゴ、水月みぞおち、膝をほぼ同時に蹴り抜いているネ!!


・・・そして何より

驚くべき事は・・・


「―――アチョー!!」

「「「・・・ギャァァァーーー!!!」」」


―――本気でアチョーと言い切る武闘家を初めて見たヨ!!


「・・・あのさ・・・ずーっと突っ立てられるのは、困るんだけど・・・少しは、手伝って欲しいんだけど・・・」

「ゴメン、ゴメンヨ・・・!!」

山賊との大乱闘の中、三編みの女性のカンフーに見惚れていた簡辛が注意を受ける


助けてもらって、庇われてばかりじゃダメネ!

ワタシも参戦するヨ!!


「・・・ふぁ~!・・・暇じゃのう~!!・・・まだ、終わらんのか?」

戦闘中の2人を尻目に呑気に欠伸をしながらマホが訊ねる


「す、直ぐに終わらせますんで・・・!!」

「ずっと気になってたけど・・・この小っこくて生意気なのは、何者ネ?」


いくら相手が山賊とは、いえ!

戦地でのんびりし過ぎネ!!


「生意気なのは、どっちじゃ!に助けてもらっとるクセに・・・!!」


・・・えっ


「今、カンナって言った?」

「当たり前じゃ!雇い主なんじゃから呼び捨てで呼ぶわ!!」

「―――そんな細かいとこは、重要じゃないネ!!」


・・・この三編みの女性が!?


シスターの言っていた!

1000年に1人の武術の天才っ!!



「・・・ハァ・・・ハァ・・・い、いた!あそこだ!!」

崖を飛び越え、先頭を走る聖女様を追い掛けるチェンの視界に城壁で囲まれた都への門の前で天に向かって祈りを捧げている聖女様を見つける


「・・・あっ!チェン様、お早い到着ですね。わたくし15分程しか待っていませんよ。」

想像よりも早く到着したチェンに聖女様が驚きの表情を見せる


聖女様のこの人間離れした脚力!

あの距離を走って平然としていられる体力!!


―――間違いない!


これは、悪魔デビルズ刺青モンモンの力だ!!


もしかしたら幼少期に悪魔デビルズ刺青モンモンを彫られ、聖女様の気付かない内に入れ墨持ちになってしまったのでは!?


「チェン様のお陰でしょうか?ここまでの道中、山賊や野獣などに襲われずに辿り着けました。感謝しかありません。」

聖女様が微笑みながら深々と頭を下げる


・・・そりゃあ、あんな速度で走り抜けたら襲いたくても襲えねーよ!速過ぎるんだもん!!


ここは、正式に確かめないと・・・


「聖女様、正直に言ってくれ!身体に悪魔デビルズ刺青モンモン、彫られてませんか?」

「神に誓って、そのようなモノは、ございません。」

聖女様が完全否定する


・・・ま、そうだよな!

そう言われれば・・・


こっちは、その言葉が嘘か真実か判断できないんだよな!!


『―――オイ、処女!』

「・・・・・・?」


・・・ロン、何を言う気だ?

嫌な予感しかしないぞ!!


『服を脱いで裸になれ!!』


・・・・・・


「―――はあぁぁぁーーー!!何、考えてんだよ!ロン!!」

チェンが大声を上げる


何とんでもないコンプライアンス違反な発言してくれてんだよ!?


お前が叫んでも殆どの人は、俺が言ったと思うんだから!

頼むから不用意な発言は、控えてくれよ!!


「・・・見てみろよ!聖女様を!!笑顔のまま凍りついて固まってんじゃねーか!!」

『・・・だから、良く見るのは、貴様だ!!』


・・・ん?


いくら見ても、聖女様の表情からは、何も感情が読み取れないんだけど・・・


―――ブチギレてんのかな?


『何で気付かねーんだ!マヌケ!!わかんねーんなら、触れてみろ!!』

「・・・えっ!?」


・・・そ、そんな

い、良いの・・・?


聖女様だよ!聖女様!!

そんな清楚で清らかな身体に触れるなんて・・・


―――いや、間に受けるな!!


これは、悪魔の・・・

もとい龍のささやきに耳を傾けちゃダメだ!


そんな罰当たりな行為をして・・・


―――とか考えながらも手が勝手に聖女様の胸を・・・


掴んでしま・・・


「―――あれっ!?」

聖女様に触れようとするが空振ってしまう


『・・・残像だ!!』

「・・・ざ、残像!?こんな至近距離で・・・!!」


辺りを見渡しても聖女様の姿は、どこにもない!

今の一瞬で姿を消したのか!?


「・・・ろ、ロンは、今の視認できたのかよ?」

『・・・・・・』


・・・沈黙は、答えなり!

見えなかったんだな!!


ロンの視力を持ってしても追えなかったとは・・・


―――何て神速!!


聖女様の正体は、一体!?

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